定年を待っていたら自分で決められる期間が短くなる

小嶋 60歳以前、60歳以降と区切ってどう働くか考えるのは、数学でいえば「良い問題を解いてない」という感覚でしたね。だったら私は「これから何をするのか」を考えたい。まして定年が延長されているので、「定年以降」と考えると、60歳が65歳、70歳になり、自分で決められる期間はますます短くなってしまう。そう考えたら、もう「今月辞めます」という気持ちになりました(笑)。

―― 安定した企業を辞めることについて、周りから反対はされませんでしたか?

小嶋 母に会社を辞めると話したら、「良かったね」と言われたんですよね。母は私が大企業で働いていることを誇りに思っていたので反対されると思っていたら、「あなたは何でもできる人だから挑戦するのはいいことだ」と言われて驚きました。母は私を育てるためにいろいろな仕事をしてきた人です。その母から「やれるときに何でもやってみたほうがいい」と言われたことで、背中を押されました。

「母は自分の意志で人生を切り拓いてきた女性。その母が私の決断を応援してくれたことがうれしかった」
「母は自分の意志で人生を切り拓いてきた女性。その母が私の決断を応援してくれたことがうれしかった」

―― 会社にはどのように理由を説明されましたか?

小嶋 「母はこの先、劇的によくなることは考えられない。介護のためだけではないが、自分の時間をこれからどう使いたいかと考えたとき、会社で仕事をすることではなくなりました」と正直に伝えました。上司から一度は引き留められましたが、私の意思を尊重してくれる人でした。だから辞めると決めてから、実際に辞めるまでは2カ月ほどでした。