日本で就職したくても諦める留学生たち

今西 事業の拡大をセーブする一方で、起業してから新しい事業も生まれました。2年間で1000人くらいの留学生にインタビューをして気づいたのは、日本で働きたくても就職活動がうまくいかない学生が多いこと。登録している学生の多くは文部科学省の国費で留学している優秀な学生ですが、日本の就活は特殊なのでしょうね。うまくいかずに諦めて帰ってしまう子も多い。企業側は優秀な留学生がほしいと思っているから、そこをマッチングすることは双方にメリットがあります。それで起業2年目に人材紹介業の免許を取り、企業への留学生の就職紹介業を始めました。それが「シェズモキャリア」です。

 特にベンチャーや中小企業の場合、外国人人材を採りたくてもアクセスする方法が分からない。留学生にとっても中小企業なら自分のスキルをすぐに生かして活躍しやすいようです。少子高齢化や人口減少で日本は海外の優秀な人材がさらに必要になるし、留学生が日本で働きやすい環境をつくるお手伝いもできる。国籍に関係なく次世代のリーダーを育てていきたいという思いは強くありますね。

「国籍に関係なく次世代のリーダーを応援するビジネスをしたい」
「国籍に関係なく次世代のリーダーを応援するビジネスをしたい」

若者版ダボス会議をプロボノで支援

―― 起業のミッションがぶれないことは大事ですね。

今西 会社の事業ではないですが、2021年に東京で開催が決まった「ワン・ヤング・ワールド サミット2021」というグローバルフォーラムを運営する一般社団法人の理事にもなりました。190カ国以上2000人近い若者が集まる次世代リーダーを育てる世界最大級のサミットです。「若者版ダボス会議」と呼ばれるサミットでは、次世代リーダーたちがグローバルな問題について取り組みます。

 2009年にロンドンで始まって以来、毎年違う国で開催され、200社以上の世界企業が社員を派遣したり、奨学金支援をしたりしています。100%プロボノ(スキルを生かすボランティア活動)で会社の直接の事業ではありませんが、次世代のリーダー育成は私自身のビジョンでもあり、必ずさまざまな相乗効果が生まれてくると信じています。

―― どういう経緯で理事に?

今西 去年の夏、たまたまワン・ヤング・ワールド・ジャパンの理事長にお会いする機会があり、会社の事業内容やグローバル人材への思いを話したらロンドンでのサミットに招待されたんです。サミットの存在は知っていましたが、実際に参加してみると「想像以上にすごい!」と。世界中から集まった、いい意味で意識の高い2000人に囲まれたら、人は絶対に変わります。世界のトップリーダーやカウンセラーと共に参加するワークショップがたくさんあって、まさしく世界中のいろいろな人と交流できるネットワークの場です。自分も若い頃だったらすごく刺激になっただろうなと感激して帰ってきました。経験したことのない刺激と感動の連続で「面白い!」と関わっている感じです。