加藤 私たちが求めているのは、荒野をバックパックで旅行するのを面白がれる人材。大企業での大名行列を好む人は企業のフェーズに合わないことを学びました。今は、社員から推薦できる人材を紹介してもらう、リファラル採用に力を入れています。

 あと、最も苦労したこと、ですよね……。起業後は、本当に苦労の連続です。最も苦労したことは、生々しくてまだ語れません、というのが正直なところです(笑)。

主な創業メンバーと。右から2人目が加藤史子CEO、一番右は元クックパッドの舘野祐一CTO(写真提供/加藤さん)
主な創業メンバーと。右から2人目が加藤史子CEO、一番右は元クックパッドの舘野祐一CTO(写真提供/加藤さん)

Q 起業してみて分かった、ベンチャーならではの戦略とは?

―― 「スタートアップとは、赤ちゃんに大リーグ養成ギプスをはめて3年で20歳にさせようとするようなもの」と表現されましたが、そんなベンチャーならではの戦略はありますか?

加藤 資金力や兵力で大企業にかなわないベンチャーの戦い方は、当然、夜討ちや奇襲など、「桶狭間の戦い」タイプになりますね。

 ところが、WAmazing が目指すのは、訪日外国人旅行者の不便や不満、障壁を解消しながら、スマホ一つで交通、宿泊、飲食、買い物、娯楽などを手配してしまうという、全方位のプラットフォームサービスです。交通や宿泊など、それぞれの事業領域ごとが大規模な市場を束ねて全方位で戦うためには、莫大な資金や人材が必要で、大企業にしかできない「関ヶ原の戦い」タイプが求められる。それが私にとって、いつも悩みの種でした。

 そんな折に、ネット業界のトップ経営者が業界の展望や経営について語る「Infinity Ventures Summit 2017 Fall」で、ヤフー社長の川邊健太郎さんの講演「大企業の倒し方」を聞いて、ひざを打ちました。講演の内容はとても面白いので見てほしいのですが(文末参照)、ベンチャーが大企業を倒すために川邊さんが挙げていたポイントが、「リソースを局地戦に集中投下する」、「大企業に気付かれないように、情報を隠しながら成長する」、「とがった人材を採用する」。とても共感するところが多く、実際の経営でも参考になっています。

取材・文/武田京子 写真/洞澤佐智子 構成/大屋奈緒子(日経ARIA編集部)

参照:ヤフー社長の川邊健太郎さんの講演

※調査概要
「40・50代の働く女性のワークライフ意識調査2019」は、フルタイムで働く35~59歳の女性に対して、2018年12月21日~2019年2月19日までWeb上で実施。2331人から回答を得た。うち30代は3.1%、40代は53.1%、50代は43.8%。