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ARIA世代、起業日和

息子の白血病でキャリアを断念 そこから開けた新たな道

(上)コンサル→高級ブランド→ベンチャー 会社員を辞めた先に「自分で働く場をつくる」決断


ブランクがあると正社員は難しい、だったら自分でつくろう

市原 それは割と早めでしたね。長男が幼稚園に行き始めてからフリーランスで、元同僚が声をかけてくれたデータ分析の仕事をするようになりました。

 その後、会社員に戻ろうと思い、いくつか話は聞いてみたのですが、やっぱりブランクがあると難しい。治ったとはいえ経過観察で病院に付き添わなければいけないこともあり、そういう条件があるとなかなか正社員は難しいといわれました。だったら自分で自分の働く場所をつくったほうがいいんじゃないかと思うようになりました。

 もう一つは、東日本大震災のとき、フリーランスで働いていた職場でビルが激しく揺れて。「もしかしたらもう子どもと会えないかも」という思いが頭をよぎりました。そのとき、この仕事でいいのかなと。時間を切り売りするような仕事で、子どもと会えなくなるとしたら悲しい。でも働く以上はそういうシーンもありますよね。だったら悔いのない仕事をしたいと思ったんです。

 当時、スマホのアプリが一気に浸透した時期だったので、これなら自分でも起業できるのではないかと考え、2014年に会社を立ち上げました。

―― 起業することに対して、家族の反応はどうでしたか?

市原 アプリをつくろうと考えたとき、「それなら最初から会社にしたほうがいい」と言ったのは夫なんです。自分がサラリーマンをしているので、「君は大きく賭けたほうがいいよ」と背中を押してくれました。小学生になっていた長男に「仕事を始めようかな」と話したら、「好きにやったらいいよ」という感じでした。一生分ぐらいの密度でずっと一緒にいたので、もういいと思ったのかもしれません。

Q 仕事でモットーにしていることは何ですか?
Q 仕事でモットーにしていることは何ですか?
A 自分で選んだ道を正解にする。そのために粘り強く前に進めていくことです

 振り返ってみると、息子の病気をきっかけに辞めることなくベンチャーで子育てしながら働いていたら、「なんで私だけが目いっぱい働けないんだろう」と、ずっと夫とケンカばかりしてネガティブな感情が渦巻いていたと思います。目いっぱい働けないことで会社でも思ったように評価されない、というもどかしさを引きずっていたかもしれない。

 長男の病気がなければ起業していなかったと思います。自分では決断できなかったので、「新しい道を選ばせてくれてありがとう」と、今は息子には感謝しています。

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取材・文/竹下順子(日経xwoman ARIA) 写真/洞澤佐智子

市原明日香
いちはら・あすか/1976年生まれ。東京大学教養学部卒。99年、アクセンチュアに入社し経営コンサルティングに従事。2002年、LVJグループ ルイ・ヴィトンジャパンカンパニーに転職。ベンチャー企業で事業開発部マネージャーを務め09年、退社。フリーランスを経て14年、モデラートを設立。18年にファッションブランド「SOÉJU」を立ち上げ、サービス名を「SOÉJU personal」に変更
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