女性たちが声を上げる社会の流れも、追い風に
―― 1年で100万人というのは、かなりハードルが高くないですか。
禹 例えば「TikTok(ティックトック)」のように1回広まりだすと、大きくバズる可能性はあると思っています。また、2017年にニューヨークでサービスがスタートした犯罪情報共有コミュニティーサービス「CITIZEN(シチズン)」は、今やアメリカ13都市で利用され、多くの人が利用しています。アメリカ人の知り合いに聞くと、犯罪がどこでどういうふうに起きているのか、すぐ分かるから便利だと言っていましたね。
日本でも危機意識が高まるなか、身の回りの危険を知りたいニーズは多いと思います。また、「#MeToo」(私も)や「Time’s Up」(もう終わりにしよう。セクハラに対する運動)など、女性たちが声を上げる社会の流れも、追い風になっています。
目撃情報などツイッターに書き込まれることはありますが、その情報はどんどん流れてしまいます。それを、位置情報とともにデータとして蓄積すれば、「安全」を還元できます。今、警視庁のデータや、被害に遭った人のつぶやきなどツイッターの情報を活用することにもトライし始めています。試行錯誤しながらチャレンジしている最中です。
―― 「身軽になって、自分らしくやりたいことにチャレンジする」という起業時のスピリットを体現されていますね。
禹 毎日楽しくて仕方ないですね(笑)。今は痴漢という限定的な被害に特化していますが、今後は不審者情報なども加えることで、さまざまな「安全」を提供できるようにしていきたいです。
取材・文/西尾英子 写真/花井智子
キュカ代表取締役