ワーク・ライフ・バランスが声高に叫ばれる現在、一方では仕事そのものを面白がって「遊ぶように働く」人たちも現れています。デザイン性の高いニットバッグを作り、ECサイトで受注販売するビジネスを軌道に乗せた楠佳英さん。個人投資家から投資を得て株式会社化したのち、横浜市・日吉にアトリエ兼ショップの実店舗を構えます。リアル店舗を持たないという身軽さを手放して、金融機関から借り入れをしてまで店舗を構える決断をした理由と、店舗を持ったメリットについて聞きました。

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楠佳英 ファッション誌に載るのにふさわしい値段で勝負

売り上げのハードルは上がると承知して決断

―― デザイン性の高いニットバッグを作り、ECサイトで受注販売するビジネスを軌道に乗せた楠さんは、堅調な販売を維持していた2018年7月末、横浜市の日吉の住宅街に店舗をオープンしました。なぜ店舗を持とうと考えたのでしょう?

楠佳英さん(以下、敬称略) 私たちは起業してからずっとオンラインだけでビジネスを展開してきました。着実に黒字は出ていましたので、このまま店舗を持たなくてもいいのではとも思っていたのですが、「作り手が丁寧に編んだバッグ」という特徴を生かして事業を安定させるには、作り手の姿をお客様が直接見られる仕組み、つまり店舗を作ることが必要で、それに手を付ける段階に来たと考えたのです。

 店舗を持つとなると融資を受けなくてはなりませんし、固定費がかかると黒字を出すための売り上げのハードルも上がる。それは分かっていましたが、迷った末の決断でした。

東急東横線の日吉駅から徒歩2分。駅前の繁華街から脇に入った住宅街に、2018年7月、Beyond the reef(ビヨンドザリーフ)のアトリエ兼ショップがオープンした
東急東横線の日吉駅から徒歩2分。駅前の繁華街から脇に入った住宅街に、2018年7月、Beyond the reef(ビヨンドザリーフ)のアトリエ兼ショップがオープンした
1階では商品を手に取ることができる。2階にはバッグを制作したり検品したりするアトリエがある
1階では商品を手に取ることができる。2階にはバッグを制作したり検品したりするアトリエがある

―― なぜ、お客と作り手との直接の接点が必要なのでしょう?