ワークライフバランスが声高に叫ばれる一方で、仕事そのものを面白がり、「遊ぶように働く」人たちも現れています。この記事は、暮らしの道具を扱うネットショップ「北欧、暮らしの道具店」店長で経営者でもある佐藤友子さんの2回目。倒産目前でスタートしたECサイトでビジネスを成長させるなかで、常に一手先を読み、ファンに支えられる人気サイトに育て上げるまでの話を聞きます。
(1)「北欧、暮らしの道具店」の店長になるまで
(2)北欧人気で事業大成功、でも方針を変えたワケ ←今回はココ
(3)ワークとライフの境目は曖昧なほうがいい
この記事の前に読みたい
⇒佐藤友子 「北欧、暮らしの道具店」の店長になるまで
倒産目前で予想外の大成功、「一手先を読む」で成長
―― お兄さんと二人で起業したビジネスが1年もたたずに失敗し(前回記事参照)、後がないという覚悟で始めた「北欧、暮らしの道具店」ですが、その後10年以上も続く人気ショップになります。成功の秘訣は?
佐藤友子さん(以下、敬称略) 当時はちょうど、フィンランドを舞台にした映画「かもめ食堂」が話題になり、北欧のインテリアやライフスタイルに注目が集まっていて。運良く、店をオープンした直後に、ほとんどの商品が完売したんです。
とにかく北欧が人気で、「北欧」というキーワードや「アラビア」などの現地のブランド名、「スティグ・リンドベリ」のようなデザイナー名で検索している人が多かったですね。私たちの「北欧、暮らしの道具店」という店名は、検索結果で上位に表示されるためのSEO(Search Engine Optimization)的にもすごく有利でした。
佐藤 仕入れるそばから売れるほど人気だった北欧ビンテージですが、あまりの人気に、兄と私は危機感を覚えました。北欧ビンテージとは、主に1950~1970年代に製造されたものを指します。そのため、今後も安定して仕入れられる商品ではない。限りある資源を各ショップが奪い合っている状態なんです。このままビンテージだけに頼っている商売に不安を覚えた私たちは、一手先を読んで、北欧の現行品も並行して仕入れるように方向修正。開店の数カ月後には現行品の販売を開始しました。現在では、北欧ビンテージは一切扱っていません。