ワークライフバランスが声高に叫ばれ、これからは仕事とプライベートのどちらに重きを置くか、考え直しているARIA読者もいるでしょう。一方で、仕事そのものを面白がり、まるで「遊ぶように働いている」と感じる人たちも現れています。今回登場するのは、暮らしの道具を扱うネットショップ「北欧、暮らしの道具店」の店長、佐藤友子さん。30代の初めに店を立ち上げて以来、商品セレクトやコンテンツ制作などの運営全般に携わり、月間PV約1500万、UU約160万人の人気サイトに育て上げました。軽やかに「好き」を仕事にしているように見える佐藤さんの、ワークとライフとは?

(1)「北欧、暮らしの道具店」の店長になるまで ←今回はココ
(2)北欧人気で事業大成功、でも方針を変えたワケ
(3)ワークとライフの境目は曖昧なほうがいい

自分探しの20代、情熱だけでインテリア会社に就職

―― 「北欧、暮らしの道具店」を立ち上げるまで、佐藤さんはどんな仕事をされていたのでしょうか?

佐藤友子さん(以下、敬称略) 20代は自分探しの時期でしたね。アルバイトや派遣社員として、職を転々としていました。暮らし回りのことには小さい頃から興味があって、大好きな堀井和子さんの本をはじめ、インテリアや雑貨の書籍や雑誌を片っ端から読んでいました。一人暮らしを始めてからは、そのエッセンスをまねして、お金がなかったのでDIYをしながら部屋づくりに熱中。

「北欧、暮らしの道具店」店長の佐藤友子さん、43歳
「北欧、暮らしの道具店」店長の佐藤友子さん、43歳

 当時好きだったのは、風合いのあるビンテージを取り入れたインテリア。何かをそのまま取り入れる「○○スタイル」を追求するのではなく、自分にとって心地よいものを、自分らしく編集することに憧れていました。ただ、それを仕事にできるとは思っていなかったので、自分の部屋や友人の部屋のインテリアを考えたりするにとどまっていた。今思えば、趣味の範囲にとどめて恥をかかない選択をすることで、“好き”の聖域を守っていたんですね。

 そんな自分もそろそろカッコ悪いかもしれないなと思い始めたのが28歳の時でした。