市場が縮小傾向にあるアパレル業界で、成長を続けているファッションブランド「DoCLASSE(ドゥクラッセ)」。カタログ通販事業で身軽に創業したのに実店舗を拡大したり、マス媒体が効かないといわれる時代にTVCMを打ったり。あえての「逆張り」路線とも思える手法で勝負を懸けます。市場が飽和状態とされるオールドビジネスで成功する秘訣を代表取締役 林恵子さんに聞きました。全3回、今回が最終回です。

(1)アパレルEC 13年間で変えたこと&変えなかったこと
(2)失敗を成功に変えるヒント コールセンターは宝の山
(3)「お客様は親友」 接客ポリシーが浸透する人材育成 ←今回はココ

筋トレと同じ。いつもと違う筋肉を使うからストレッチが効き、レベルアップできる

 

―― DoCLASSEのコールセンターや店舗では「お客様を親友だと思って」という接客ポリシーが徹底されているそうですね。最終回は林さん流のユニークな人材育成について聞かせてください。

林恵子さん(以下、敬称略) 失敗だらけで、私自身、人材育成は下手だと思っていますけど……。そもそも人材育成って何だろうと自問した時、まず個の強さを生かすことが大事だとは思っています。ただ、その強さも弱さもまだ分からない人もいる。そういう時にはできるだけ、本人の興味を大切にしながら「今まで経験してないことをやってみて」という頼み方をよくします。

スタッフと打ち合わせをする林さん。デザイン、素材感、柄、色など細部までしっかり吟味する
スタッフと打ち合わせをする林さん。デザイン、素材感、柄、色など細部までしっかり吟味する

 なぜなら、今まで以上のレベルの仕事を求めることで、その人自身が勝手に伸びるからです。確実にできる仕事ばかりを与え続けていては、ストレッチが効かないから、やっぱり伸びないと思うのです。失敗するかもしれないけれど、でも、失敗はいいんです。本人の学びや気づきになるから。

 筋トレで例えると分かりやすいかもしれません。いつも使わない筋肉を使ってみると、鍛えられて力がつくことがきっとあるはず。少しレベルアップした仕事を求められることで自然に筋力がついていく。