市場が縮小傾向にあるアパレル業界で、成長を続けているファッションブランド「DoCLASSE(ドゥクラッセ)」。カタログ通販事業で身軽に創業したのに実店舗を拡大したり、マス媒体が効かないといわれる時代にTVCMを打ったり。あえての「逆張り」路線とも思える手法で勝負を懸けます。市場が飽和状態とされるオールドビジネスで成功する秘訣を代表取締役 林恵子さんに聞きました。全3回でお伝えします。

(1)アパレルEC 13年間で変えたこと&変えなかったこと
(2)失敗を成功に変えるヒント コールセンターは宝の山 ←今回はココ
(3)「お客様は親友」接客ポリシーが浸透する人材育成

資金不足、競合の出現。2つの危機をどう乗り越えた?

―― 前回、「今期は創業以来、第3の危機かと言うほど苦しい」という話が出ましたが、ちなみに第1、第2はいつだったのですか?

林恵子さん(以下、敬称略) 第1の危機は創業1年目。お金のない苦しみでした。自宅のガレージを改装したコールセンター兼オフィスから一軒家に移った頃でした。貯金通帳を開いて見たら「あら、お金がない!」って(笑)。

 第2の危機は競合が出てきたとき。商品コンセプトやものづくりがそっくりまねされた上に、広告戦略まで。当時、新聞広告で成長していた時期だったのですが、その売り方もまねされたんです。

乗り越えられた今だから笑って話せるが、「本当に悔しかったですね」と林さん
乗り越えられた今だから笑って話せるが、「本当に悔しかったですね」と林さん

 同じ体裁の新聞記事下広告が隣り合わせに並んだこともしばしば。弊社のセカンドラインだと誤解した私の友人から「あら、恵子さんの会社、もう1つブランドを立ち上げたの?」と言われるほど、酷似していました。

 徹底的に同じようなビジュアル展開で、しかも競合は低価格戦略。うちのジャケットが9900円なら競合は5900円、パンツが7900円なら競合は3900円と、安値を打ち出してきました。おかげで弊社のコールセンターは閑古鳥。電話が全然鳴らなくなって。忘れもしない、魔の2013年です。本当に悔しかったですね。

―― それぞれの危機を一体どのように乗り越えたのですか?

林さんは、創業時から今に至るまでに直面した「3つの危機」をどう乗り越えたのか? 次ページから詳しく解説する
林さんは、創業時から今に至るまでに直面した「3つの危機」をどう乗り越えたのか? 次ページから詳しく解説する