市場が縮小傾向にあるアパレル業界で、成長を続けているファッションブランド「DoCLASSE(ドゥクラッセ)」。カタログ通販事業で身軽に創業したのに実店舗を増やしたり、マス媒体が効かないといわれる時代にTVCMを打ったり。あえての「逆張り」路線とも思える手法で勝負を懸けます。市場が飽和状態とされるオールドビジネスで成功する秘訣を代表取締役の林恵子さんに聞きました。全3回でお伝えします。

(1)アパレルEC 13年間で変えたこと&変えなかったこと ←今回はココ
(2)失敗を成功に変えるヒント コールセンターは宝の山
(3)「お客様は親友」接客ポリシーが浸透する人材育成

―― シュリンク状態と言われるアパレル業界で、御社は2007年の創業以来12期連続で売り上げを拡大しています。ターゲットは創業時から40~50代の女性に特化しブレていませんが、この13年間、林さんが見ていて日本の女性達は何か変わりましたか?

林恵子さん(以下、敬称略) 創業間もない2008年、女性の有職率は62.3%でしたが、最新のデータでは72.8%(2019年11月)。しかも、2013年以降は毎年対前年比で増加し続けていると数字で知り、改めてなるほどと思いました※。こうした変化はコールセンターで電話が鳴るピークが朝から夜へと緩やかにシフトしていることにも表れているからです。女性の社会進出が進み、金融業界にも女性役員が誕生したり、総合商社の女性幹部が増えてきたり。女性が活躍する業種業態も驚くほど幅広くなりました。

DoCLASSE(ドゥクラッセ)の林恵子代表取締役は「年齢を重ねて、輝く」のキャッチフレーズを掲げて、ミドルエイジの女性を応援するブランドを2007年に創業した
DoCLASSE(ドゥクラッセ)の林恵子代表取締役は「年齢を重ねて、輝く」のキャッチフレーズを掲げて、ミドルエイジの女性を応援するブランドを2007年に創業した

 これまで私たちは週末のスタイルやカジュアルスタイルに注力してきましたが、最近は「会社に着て行ける服も欲しい」というリクエストが増えてきました。友人のキャリア女性たちからも「役員会のプレゼンで着られる服が欲しい」「学会に出席するときに、ジャケットが必要なの」などの声が寄せられることが多くなりました。ビジネスシーンでの服のカジュアル化は大きな流れですが、一方では女性たちのポジションが上がる中、きちんとしなければいけないシチュエーションが確実に増えてきていると感じます。

―― 日経ARIAでも管理職のファッション特集記事がとても読まれました。ある日突然、ポジションが上がって男性管理職に交じった時、「あれ? 何を着たらいい?」と戸惑う人は多いようです。

※出典:「労働力調査」年齢階級別労働力人口比率、女性15~64歳のデータ