東大法学部卒業後、日本及びニューヨークで弁護士登録。30代前半で法律事務所からアクセンチュアに職場を移し、現在は3人の子育てをしながら、女性役員としても活躍。そんな華々しい肩書きと経歴を持つ竹田さんだが、意外にも働き方に対する考え方は柔軟でシンプルだった。竹田さんのこれまでのキャリアの築き方から、女性活躍のヒントを探る。

仕事を持って長く働きたい。最強の武器として選んだ司法試験

──竹田さんは、日本及びニューヨーク州で弁護士登録をされていますが、グローバルに活躍する法律家になることが夢だったのですか?

竹田 弁護士になろうと最初に思ったのは高校生の頃。大学への進路を選ぶ時です。その頃から漠然と、仕事を持って長く働き続けたいという希望を持っており、それには資格があれば強いだろう、中でも司法試験が一番強そうだ、そんな単純な理由からでした。その後、大学で弁護士の方が主催するフィールドワークを中心に据えたゼミに入ったのですが、その中で大学生ながらに見聞を広め、弁護士にもいろいろな活躍の場があることを知り、ますます面白そうだなと思うように。このゼミでは、今でもつながりのある仲間や友人ができ、私の中での基盤になりました。

竹田絵美(たけだ・えみ)さん
アクセンチュア執行役員 法務部長
弁護士・ニューヨーク州弁護士。2000年東京大学法学部卒業、01年弁護士登録。2007年コロンビア大学ロースクール卒業(法学修士)、08年ニューヨーク州弁護士登録。外資系法律事務所勤務を経て、2011年にアクセンチュア株式会社に入社。2015年に法務部長、2017年に執行役員に就任。

──司法試験は、言わずと知れた超難関国家資格。大変な努力をされたのではないでしょうか。

竹田 当時の司法試験の合格率は2~3%。初めから、3年やってダメだったら諦めようと決めていました。あまり長々とやってもしょうがないですし、司法試験を志した理由が、長く仕事が続けられそうというものでしたので、どうしてもこれでなければという強い思いではありませんでした。結局、私は2回目で受かったのですが、この頃から、こっちがダメだったらそっち、というプランBを用意していました。

──竹田さんが大学卒業後に就職したのは、外資系の法律事務所だったそうですね。

竹田 大学同期の弁護士志望の多くが、4大大手と呼ばれる国内の大手法律事務所を選ぶ中、私は、外資系の法律事務所を選びました。当時も、なぜ? とよく聞かれたのですが、私は、海外に対する憧れというか、英語を使って活躍したいという夢もあったのです。就職活動中にいろいろな事務所を見たり、実際に働いている人の話を聞く中で、グローバルな環境で仕事をすることに対して面白さを感じたのと同時に、やはりこれからは、英語力をつけておくことで活躍の幅を広げられるのではないかと思いました。外資系の事務所に入れば、日本にいながらにして留学と同じような英語を使う環境に身を置くことができ、仕事も学べる。また、外資系のオープンな雰囲気や、これから伸びていくであろう将来性にもひかれました。

──その後、ニューヨークに留学し、弁護士の資格を取得されています。

竹田 一度海外で生活してみたいという気持ちもありました。そこで、弁護士になって5年目の2006年に、当時所属していた事務所からの支援も受け、コロンビア大学のロースクールに留学しました。当時、アメリカのロースクールは、1年通うといわゆる修士の単位が取れ、ニューヨーク州の司法試験が受けられたので、私も、留学を経験させてくれた当時の所属事務所への恩返しの意味もあって受験しました。でも、やはり日本人には語学の壁がありますので、筆記試験は必死でした。結果的にアメリカの法律全体を薄く広くですが学ぶことができ、その勉強の成果を出せたのは良かったと思います。