「優秀な女性たちを企業の意思決定層に送り込む!」という社会的ムーブメントを起こすべく2016年から始まったこのイベント。4回目となる今回は、女性の経営トップたちによる講演やディスカッションを行った。
優秀な女性ほど本当に活かせる人脈を持っている
世界55ヵ国で事業を展開する総合コンサルティング企業のアクセンチュア。グローバルでは、管理職以上の29%が女性。日本法人も女性活用施策により2006年からの10年余りで、女性社員が5倍、女性管理職が4倍に。ジェンダーダイバーシティ政策を経営上重要な戦略と捉える先進的なグローバル企業だ。
今回、登壇したのは、そんな同社でマネジング・ディレクターを務める植野蘭子さん。「女性役員に必要なリーダーシップの育成」として、“ストロング・ネットワークス”、つまり人脈の形成について、アクセンチュアの実例や自身の体験をもとにして分かりやすく解説した。
ストロング・ネットワークスとは、単に“顔が広い”“名刺の数が多い”ということではない。自分が仕事で活躍する時やキャリアアップする時に、実質的に活かせる人脈をどれだけ持っているかということで、時として仕事のスキルよりも重要な戦略的資産になる。その構成要素は、「ロールモデル」「コーチ」「メンター」「スポンサー」の4つ。
その必要性とメリットを認識してもらうため植野さんは、「隣の席の人と、これまでに人脈でどんな恩恵を受けたか、シェアしてみてください」と参加者に呼びかけた。植野さんの話に熱心に聞き入っていた参加者たちは、それぞれの経験を熱心に話し始め、人脈に助けられていることを再認識できた瞬間となった。
これらは「自分を知る」「目的地を定める」「前進する力を得る」ためにもリーダーにとって必要不可欠なもので、「優秀な女性ほど、こうしたネットワークをうまく活用している」と植野さんは言う。
また、女性にはなじみが薄い「スポンサー」の重要性についても言及。一人の思いだけでは、想像し得る範囲でしか動けず、飛躍的に成長できない。自分を引き上げてくれるスポンサーという存在を持つと、「手が届かないような大きな仕事にチャレンジできる」と、植野さん。
だが、ストロング・ネットワークスは、一朝一夕で構築できるものではないという。まずはネットワークが不足していると認識したうえで、人との出会いを増やしてネットワーク量を増加させ、それを活かせる状態、つまり質を高めていく必要がある。「一番難しいのは、質を高めるステップ。一緒に何かできそうな人と出会ったら間を空けずに連絡を取り、関係を構築すること。そしてやりたいことや目指したいことを共有することが重要なポイント」と、植野さん。
自分の人脈を把握するには、人脈図を作るのもひとつの手段ということで、植野さんの人脈図も公開された。社内・社外、仕事・仕事以外の軸を作るなどして可視化すると、「実は自分にはロールモデルがいなかった」などの気づきも得られるという。
「ストロング・ネットワークスは、自分の目的達成やキャリアのために活かせる人脈のことで、管理職・上級管理職昇進への自信やスキルを効果的に高めてくれます。質を向上させて、自分のストロング・ネットワークスを戦略的に育てていくことが大切です」(植野さん)。