16年から行われている「ウーマン・エグゼクティブ・カウンシル」。「優秀な女性たちを企業の意思決定層に送り込む」という社会的ムーブメントを起こすべく始まった本イベントも、すでに5回目。経営トップたちによる講演やディスカッションに、今回も熱い視線が集まった。

左から、アクセンチュアの堀江章子さん、ロート製薬の力石正子さん、セブン-イレブン・ジャパンの藤本圭子さん、SOMPOホールディングス グループCEO取締役社長の櫻田謙悟さん、来賓の挨拶として登壇した内閣府男女共同参画局長の池永肇恵さん、SOMPO企業保険金サポートの陶山さなえさん、アクセンチュアの田村京子さん。右端は、主催者挨拶をした日経BP総研フェローの麓幸子

「第5回ウーマン・エグゼクティブ・カウンシル」は、「WOMAN EXPO TOKYO 2018 Winter」のプレイベントの一環として、2018年11月30日(金)に東京ミッドタウンで行われた。

 経営トップを目指す女性たちや企業のダイバーシティ担当者などが詰めかけた会場は、今年も満員御礼となり、立ち見が出るほど。優秀な女性人材を経営層に送り込み、女性活躍推進をさらに進めるという熱い思いを持つ人々で溢れかえった。

 まずは、主催者ご挨拶として、日経BP総研フェローの麓幸子が登壇。「経営層に優秀な女性リーダーがいることは、日本企業の透明性、健全なカバナンスの創出のためにも不可欠」と口火を切り、今回で5回目となった本イベントの意義を力説。そのうえで、「現在は、AIが台頭するなど、産業界のパラダイムシフトが起こっている、何が起こるかわからない予測不能な時代。女性役員が増え、経営層が多様化することは、そうしたリスクを捉え、変化に適応する力を向上させることにもつながる」と訴え、今こそ女性役員の誕生と増加が望まれていると強調した。

上場企業の女性役員10%を目指し、3つの対策を推進

 次に来賓のご挨拶として、内閣府男女共同参画局長の池永肇恵さんが登壇。まずは、「2020年までに上場企業の女性役員の割合を10%にする」という女性役員登用の閣議決定目標について触れ、「2012年から18年の6年間で、上場企業における女性役員が2.7倍増加した。ただ、現在の割合は4.1%で、10%に到達するにはかなりの努力が必要」と、現状を報告。そのうえで、女性役員増加のために政府が取り組んでいる3つの対策について語った。

政府の取り組みについて解説する内閣府男女共同参画局長 池永肇恵さん

 1つ目は、「女性活躍推進法により、国・地方公共団体・大企業に、事業主行動計画の策定と公表を義務づけたこと」だと話し、女性の活躍推進を「見える化」することが、企業の取り組みを促す力になると強調。2つ目には、女性リーダー育成事業の強化、3つ目には、女性躍進のために欠かせない男性リーダーを集め、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」の行動宣言を策定・公表したことを挙げた。「こうした女性役員登用を増加させようというムーブメントが、今日集まった方々の糧になることを期待しています」(池永さん)。

先進企業のトップが語る 女性役員が日本および企業に与えるインパクト

 SOMPOホールディングス グループCEO取締役社長の櫻田謙悟さんの講演は、「一番言いたいことは、ひとつだけ。女性は出世したがらないと聞きますが、リーダーの仕事は楽しいぞ、と伝えたい」という言葉から始まった。「もちろん常に責任が伴うので厳しい面はある。でもそれ以上に、会社の方向性を決め、社員の皆さんにやる気や幸福を与えることは、ほかでは得られないやりがいをもたらす」と櫻田さん。

SOMPOホールディングス グループCEO取締役社長 櫻田謙悟さん

 さらに櫻田さんは、VUCA(※)というキーワードと、これから日本に待ち受ける深刻な生産年齢人口の減少を話題に挙げ、「そんな先の見えない時代だからこそ、女性の活躍が欠かせない」と強調。「実は日本人女性は、OECD加盟35カ国の中で「読解力」と「数的思考力」がトップ。こんな世界一のタレントたちを活かさない手はない」と、企業の業績や日本経済を浮上させるためにも必要不可欠だと語った。

 また、雑談力や違和感を率直に伝えることなど、男性にはない女性ならではの強さが経営層にもたらすメリットについても言及。最後は、「The greatest risk is not taking one(最大のリスクは、リスクをとらないことである)」という名言を紹介し、講演の幕を閉じた。

※VUCA=Volatility(不安定)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)という4つのキーワードの頭文字を並べた言葉。