「結晶化させない」ために250以上の処方にトライ

―― どんなきっかけが、更なる高濃度への突破口となったのでしょうか?

高橋 更なる高濃度を実現するために、美容液だけでなく半固形剤、粉体なども視野に入れ検討しましたが、私たちはオバジCの美容液で、最高濃度を実現するということにこだわりつづけました。

 25%のビタミンCを溶かそうと思ったら、40℃の水でないと溶けきれません。一度溶けたとしても、温度が下がれば溶解度は下がり、下がった溶解度の分だけビタミンCは結晶となって現れます。つまり、溶かすというアプローチだけでは限界があります。そこで、発想を大きく変えました。溶かす方向に集中するのではなく結晶の形成抑制にも着目したのです。

 結晶化をさせないために、250種類以上の処方を検討しました。さまざまなバックグラウンドを持つ研究員たちが研究を重ね、まず溶解性の問題をクリアすることができました。しかし大変なのはここからでした。それは「本当に結晶化しないのか」ということです。私たちは医薬品と同じ品質保証期限を設けており、美容液がお客様の手元に届いてから3年間、結晶ができないかどうかということも検証しています

 トータルで15年かかりましたが、溶解性だけではなく、結晶化の抑制にも着目することで、「オバジC20セラム」を超える最高濃度を実現することができました。再結晶化しない、これは製品を差別化することの肝になっています。

「発想を大きく変えました。溶かす方向に集中するのではなく、結晶の形成抑制の方にも着目したのです」
「発想を大きく変えました。溶かす方向に集中するのではなく、結晶の形成抑制の方にも着目したのです」

―― どんな技術がカギになったのでしょう?

高橋 ビタミンCの誘導体です。その成分が入ることでビタミンCの結合を邪魔して、再結晶を防ぐことができます。これは製品開発の過程で特許を取った技術で、それによって高濃度化が実現できました。そこからは非常に速いスピードで販売が実現できました。