時間捻出のため「仕事場に住んだ」猛者

 最大の課題である、学びの時間をどのように捻出すればよいのか。実践者に、時間の作り方を尋ねたところ、大きく分けて4つのアプローチがありました。キーワードは「仕事」「家族」「家事」「気持ち」です。最も多かったのは、通勤時間を学びに回す方法です。通勤時に電車の中で勉強する方法はすぐにでも実践できそうですが、中には「引っ越しをして通勤時間を物理的に短縮」した人や、「仕事場に住んだ」という猛者もいました。

 家事の時間を学びに回すために、高性能な家電を購入したり、家事を外部委託したりするほか、「料理をする回数を減らす」という来場者もいました。

 家族の協力も大きな後押しになります。夫、または子供と一緒に勉強する “チームプレイ”がある一方で、「家族の自立を促し自分時間を作る」人も。あの手この手で、貴重な時間を作り出す様子がうかがえました。

生活、仕事、家族…多方面に学びの波及効果

 最後に「大人の学びのメリット」について尋ねたところ、生活面、仕事面、家族面それぞれで価値あり、との意見が寄せられました。「人間関係が広がる」「キャリアにプラス」といった内容に加え、パネリスト3人が注目したのは家族面でのメリット。ある来場者の「高校生の娘と同じ資格試験を受け、2人とも合格しました。学びが共通の話題になり良かった!」という意見には、会場全体から賛辞の声が上がりました。

 長野記者はパネルディスカッションの結びとして、真矢ミキさんが50代で塾に通い始め、高卒認定受験で5科目を合格したことを例に、学び直しに年齢は関係ないことを強調。「ぜひ、日経ARIAの記事を皆様の学びにお役立てください」と、来場者に呼びかけて締めくくりました。

取材・文/海老根祐子 写真/辺見真也