ワーキングウーマンのためのイベント「WOMAN EXPO TOKYO 2019」が2019年5月に東京ミッドタウンで開催されました。「キャリアアップのチャンスを逃さない生き方」と題したセッションに登壇したのは、今年4月に野村アセットマネジメントで初の女性社長に就任した中川順子さん。働き盛りのころに一度退社して専業主婦になった中川さんが、ブランク後にキャリアを再びどう築いて社長になったのか、話を直接聞こうと多くの女性が会場を埋めました。

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野村アセット社長・中川順子 38歳で一度退職し主婦に


―― 4年間のブランクを経て日本に帰国した中川さん。新しい勤め先は、グループ会社とはいえ以前とは全然違う業務でした。どのようにマネジメントしたのでしょうか。

中川順子さん(以下、敬称略) 新しい勤め先では、正直言って重圧を感じましたね。仕事は医療や介護の経営に関することをはじめ、幅広くヘルスケア分野に対してサービスを提供することが中心で、これまで自分が経験したことのない業務でしたから。しかも、(試用期間である)3カ月をすぎたらすぐに社長を拝命して、立ち上がったばかりで十数人の規模だったとはいえ、会社を預かる責任を初めて負いましたので。

今年4月に野村アセットマネジメントで初の女性社長に就任した中川順子さん。社長のポジションに就くのは、実は2度目だ
今年4月に野村アセットマネジメントで初の女性社長に就任した中川順子さん。社長のポジションに就くのは、実は2度目だ

中川 集団を動かす立場になると、若手や中堅のころのように自分だけが頑張れば結果が出せるというわけではありません。

 自分の役割は、プロフェッショルとしての能力や可能性を備えた社員一人ひとりが、その力を最大限発揮できる環境を作ること、と決めてそれに専念しました。そうすれば、自分自身が万能でなくてもリーダーとして一緒に頑張れると思ったのです。もちろん、医療関係の法規などについての必要な勉強はしました。

 私が仕事をする上で心がけているのは、「察してもらう」のではなく、きちんと自分の状況を言葉で説明した上で協力を仰ぎ、助けてもらったら素直に感謝することです。その意味では、私は周りの方々の力を遠慮なく借りるタイプです。女性であれ男性であれ、仕事では周りの人としっかりコミュニケーションをとれることが大切です。

―― その後、野村ホールディングスに戻り、さらに野村アセットマネジメントへと、次々に「女性初」がつくポジションに就きました。いつも女性初と言われることについて、正直どう思われていますか?