東京ミッドタウンで開催された「WOMAN EXPO TOKYO 2019」でトークセッションに登壇した、ナレーターの近藤サトさん。40代後半から白髪染めをやめたことが大きな反響を呼び、たくさんの女性たちから「私もグレイヘアにしたい」と賛同する声が寄せられている。一歩を踏み出した近藤さんが、働く女性たちに向けて、自分らしく生きるために必要な心の持ちようについて語ってくれた。

(上)グレイヘアにして自分に自由があると気付いた
(下)閉経後の人生が長いのは後進を育てるため? ←今回はココ

 私は40代後半から白髪染めをやめました。たくさんの女性から「いいね」とか「私も本当はグレイヘアにしたい」という意見をもらったことは、すごく意外でしたね。

 白髪女性のイメージは、アニメーションの登場人物で考えると分かりやすいかもしれません。『101匹わんちゃん』に登場する毛皮マニアのクルエラや、シンデレラの継母、『リトル・マーメイド』に出てくる海の中の魔女・アースラも白髪です。白髪の女性は、ミュータントとか魔女みたいに、強くて怖くて一人で生きている自立した女性のイメージで描かれることが多い。つまり、白髪の女性は自分で自分の選択肢を選んできている人のイメージと見ることができると思います。

40代後半から白髪染めをやめてグレイヘアにしたことが話題になっているナレーターの近藤サトさん
40代後半から白髪染めをやめてグレイヘアにしたことが話題になっているナレーターの近藤サトさん

日本は白髪の若手女性リーダーが少ない

 そう考えると、日本が「女性活躍後進国」なのは、白髪とも結びついている気がします。草笛光子さんや中尾ミエさんなど経験豊富な美しい女優さんで白髪の方はいますが、若手の政治家やリーダーで白髪の人は思い当たりませんよね。

 でも、海外では白髪の女性リーダーがたくさん存在します。韓国の外交部長官(外相)・康京和(カン・ギョンファ)さんは一挙手一投足から目が離せないし、欧州中央銀行(ECB)総裁に女性で初めて就任したクリスティーヌ・ラガルドさんもグレイヘアが印象的です。

 私がいたテレビ業界でも、子どもを産んでからも仕事をしたいという人は増えていて、私が局アナになった30年ほど前とは違い、働き方改革が進んだ今は、休みもちゃんともらえます。女性は非常に優秀で仕事ができるし、パワーもガッツもある。でも、女性が増えているにもかかわらず、女性リーダーがまだまだ少ないのは悲しいですね。自立した女性が増えて、女性リーダーがもっと出てくるといいな、と切に思っています。