善方 そうなんです。飲み薬だけではないんです。塗り薬、貼り薬は、皮膚から血液の中に吸収されるため、胃腸や肝機能の弱い方にも適しています。いずれも、費用は1カ月2000~3000円ぐらい。婦人科の医療は、ここ数年で大きく変わりました。最新のホルモン医療について相談にのってほしければ、日本女性医学学会で認定を受けた「女性ヘルスケア専門医」を受診してみるのもお勧めです(※)。予防にも重点を置き、女性の一生の健康を支えようとする考えの医師がこの専門医として認定されています。気軽に相談に行ってみてください。

治療について迷ったら、自分の体と心と相談をして

ナヲ ここで、今日ご来場の皆さんからの質問を受け付けます。質問がある方は挙手してください!

質問者Aさん
Q 病気にかかって治療後、ホルモンによって閉経の状態にしていますが、ホットフラッシュがつらい……。緩和する方法はありますか?

善方 まずはかかりつけの先生と相談していただきたいのですが、とりあえず今、私が提案できるのは、エクオールでしょうか。女性ホルモンのような作用を持つイソフラボンの代謝産物で、サプリメントでとることができます。また、ホットフラッシュを鎮める漢方薬として、「白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)」も試してみるといいかもしれません。

質問者Bさん
Q 低用量ピルを飲み出して13年になるのですが、飲み忘れることが増えてきて……忘れたぶんをまとめて飲んだりするのは、ダメですか?

善方 だめです! 忘れたからといって一度にまとめて飲むと、体調悪化の可能性がありますので、絶対にやめてください。飲み忘れる原因として、休薬期間の頻度が多くてややこしい、というのもあるかもしれません。低用量ピルは28日周期で服用するのが一般的でしたが、最近、120日連続や77日連続で飲めるピルが主流になってきたのをご存じですか? 出血の頻度が減るというメリットもあるので、かかりつけの先生と相談してみてください。

ナヲ 先生、ピルって、飲み忘れたらどうなるんですか?

善方 何日も飲み忘れたら、いったん子宮内膜をリセットしないと、不正出血を繰り返すなどマイナス面が生じる可能性があります。2014年から保険適用となった「子宮内黄体ホルモン放出システム」を使うという方法もあります。子宮内に小さなリングを留置しておくことで、5年間、女性ホルモンを放出し、低用量ピル服用と同様の効果が維持されます。

ナヲ 飲まなくっていいってこと? ええっ! そんな薬もあるんですね。

善方 はい! 飲まなくてよいから副作用が少ないし、飲み忘れもありません。ただし、低用量ピルを飲む代替の治療で、ホルモン補充療法とは違います。