哲学は今や働く女性の必須教養です。古今東西の哲学者が人生をかけて導き出した哲学を応用すれば、思考のショートカットになり、生きやすくなること間違いなし! では、ARIA世代の悩みを大物哲学者に相談するとどうなる? 山口大学教授の小川仁志さんが、歴史上の哲学者になりきってズバリ回答。今回は、いよいよ最終回。核兵器廃絶や科学技術の平和利用を訴えた「ラッセル=アインシュタイン宣言」でも有名なラッセルが、「仕事より大切なもの」を説きます。

今回のお悩み
それなりに仕事も子育ても妻としても頑張ってきました。でも45歳になって「これでいいの? 本当に私がやりたいことって何?」という疑問がくすぶり始めて……。これからの人生を懸けるような趣味や仕事にはどうやったら出合えるのでしょうか。

自分に熱意を向けるのは、実は不幸になる思考法

 仕事では自分なりのやり方や立ち位置がつかめ、子育ても一段落。少し余裕が生まれた人こそ、「これから本当にやりたいことが見つからない」という思いが募るのかもしれません。次のステップをどうするか、これからのキャリアパスをどう考えたらいいのか、悩むこともあるでしょう。

 どこに人生の熱意を向けたらいいのか。迷っている方にこそ、『幸福論』で知られる哲学者、ラッセルの哲学が効くはずです。

ゲスト回答者プロフィール
バートランド・ラッセル(1872~1970)

イギリスの哲学者。ケンブリッジ大学で数学・哲学を研究。数学や記号を論理学の手法で分析し現代分析学の基礎を築いた。著書『幸福論』など、哲学の分野での業績でノーベル文学賞を受賞。アインシュタインらとともに、核兵器廃絶や科学技術の平和利用を訴えた「ラッセル=アインシュタイン宣言」でも知られる。

 ラッセルは熱意を「どこに向けるか」で、幸福になるチャンスは違ってくるとしています。本来の自分のあり方を考えることも大切ですが、「自分は何がしたいのだろう?」「私ってこれで満足していていいのかな?」など、自分に熱意を向けることは、実は不幸な思考法なのです

 その理由を、ラッセルは2台のソーセージ機の例え話にしています。

「私たちは仕事の人間関係や評価が世界の中心のような思考に陥りがちですが、趣味があれば、仕事は世界のほんの一部でしかないことに気付ける、とラッセルは指摘します」(小川さん)