プラトン、ニーチェ、ショーペンハウアーetc.名前を聞いただけで、頭痛が起きそうな大物哲学者たち。でも、哲学は今や働く女性の必須教養です。古今東西の哲学者が人生をかけて導き出した哲学を応用すれば、思考のショートカットになり、生きやすくなること間違いなし! では、ARIA世代の悩みを大物哲学者に相談するとどうなる? 山口大学教授の小川仁志さんが、歴史上の哲学者になりきってズバリ回答。「哲学的思考」も学べる連載第4回は、ニーチェが「道徳」を問います。

今回のお悩み
中学1年生の娘が、クラスのいじめ問題で悩んでいる様子です。本人がいじめられているわけではなく、いじめの首謀者になっているわけでもないようですが、親としてどう対処したらいいものか。「傍観者でいるだけでもいじめに加担しているのよ」と言うべきでしょうか。

 恐らく、お嬢さんは「いじめが卑劣で許されないこと」だとは分かっているのでしょう。「嫌だな」と思いながら、「ノリが悪い」などと言われて自分が次の標的になることを恐れるあまり、加担者になってしまっているかもしれないことに、苦しんでいるのではないでしょうか。

 そして、相談者も娘にはいじめに加担してほしくない、でもいじめを止めたせいで自分の子がいじめられるようになったらと悩む――。本音と建前の板挟みになっているその気持ちは、私も親としてよく分かります。そんなあなたには、世間の道徳に背いてでも自らが強く生きることを肯定したニーチェの言葉を贈りましょう。

ゲスト回答者プロフィール
ニーチェ(1844~1900)

ドイツの哲学者。実存主義の先駆者。牧師の子として生まれた。古代ギリシャ文献学を学び24歳の若さでスイス・バーゼル大学教授となるが、体調不良に苦しみ、職を辞してからは孤独と病苦の中で哲学の著述に没頭。主著に『ツァラトゥストラ』ほか。
ニーチェが『ツァラトゥストラ』の構想を練ったといわれる散歩道「ニーチェの小道」が、南仏コートダジュール・エズ村にあります (C)PIXTA