「無為自然」自然体で生きることこそよし!

 老子の思想の根底にあるのは「道(タオ)」です。老子は、万物を生み出す宇宙の原理として「道」があり、人も天地も「道」の働きに従うと考えました。ですから、道にあらがおうとせず、ただ従えばよいと考えたのです。

 老子の言葉でよく知られているのが「無為自然」や「上善如水(上善は水のごとし)」。作為的なことをせず、あるがままの状態でいる「無為自然」をよしとし、物事の最上の状態は水のように流れていくことだというのです。水は他者と争ったりせず、高い所から低い所へと、自然のままに流れていきます。

 老子は、そうやって流れに身を任せるほうがいい、逆らってはいけないと言います。確かに、人生にもそんなところがあるのではないでしょうか。声高に主張し、我を通すばかりでは感情的にもつれたり、後々までしこりが残ることもあります。だから、まずは受け入れてみる。そして時間をかけて柔軟に取り組むことで、いつの間にか相手も歩み寄ってきたり、折り合いがついたりする。

 私たちは自分の置かれている状態にあらがって、何とかしようするから苦しんでしまう。しかし、ことさら何かを変えようとせず、今のままでいい。何か変わる機会やきっかけがあって、それもいいなと思ったらそのとき受け入れればいい。自然体で生きることこそ素晴らしいというのです。

 常に自分で人生を切り開いてきたという自負の強い人にとって、そのままを受け入れることは負けのように感じてしまうかもしれませんが、強くて固い剛直な生き方よりも、水のようにしなやかなほうが、実は強かったりするのです。

老子は、「物事の最上の状態は水のように流れていくこと」だと言う (C)PIXTA
哲学KeyWord:道(タオ)
万物をありのままに生み育てる根源であり、自然の働きのこと。老子は、そこには人智の及ばない法則があるとして、人為的な区別や対立などを超えて、万物をあらしめる自然の道に従う生き方を理想とした。