このように現実の問題を観察し、情報を集めて解決策の仮説を立てて取り組む。そしてその結果をフィードバックしてさらに修正し、より良い未来を創り出す知性をデューイは重視し、「創造的知性」と呼びました。

 デューイは、あなたの悩みに対してこう言うでしょう。「マニュアルはいったん置いて、まずは実践をしてみましょう」と。そして「マニュアルを知っているか、従来のやり方と同じようにできているかは問題ではありません。知識はアクセサリーのように飾って見せるものではなく、答えを生み出すためのツールにすぎないのですから、試行錯誤すればいい」と励ましてくれるはずです。そのプロセスにおいてこそ、新たな創造、イノベーションが生まれるのです。

本紹介
もっとデューイ!
『アメリカを動かす思想 プラグマティズム入門』(講談社現代新書)
小川仁志(著)

プラグマティズムはどう発展してきたか。アメリカ社会において、ありとあらゆる局面で土台となっているプラグマティズムを解説。現代アメリカの政治のリーダーや政策、経済にどう関係しているのかをひもといた。アメリカを内面から理解するためにも役立つ。

取材・文/中城邦子 イラスト/鈴木衣津子