いま大注目! アメリカ生まれの思想「プラグマティズム」

 デューイは、知識や概念、思想はそれ自体に価値があるのではなく、生活での矛盾や困難を解決し、人が環境に適応していくための道具だとしたのです。メガネがモノをはっきり見るための道具であるように、知識も人間の行動に役立つ道具として捉えました。

 つまり、この場合で言えば、やり方やマニュアルはそれ自体が目的ではなく、人を評価するためのあくまでもただの道具。何を使ったとしても、要はうまくいけばいいのです。チームがうまく機能して、個々が頑張れる状況をつくれていれば、十分上司の役割を果たしているのです。

 例えば、上司が食事に連れて行ったことで士気が上がった部下が仕事を頑張り、プロジェクトがうまくいったとします。部下が頑張った動機は「食事をごちそうになったから」というやや不純なものかも知れませんし、他の部下には同じ機会を与えていません。さて、こんなとき、高い評価を付けていいのでしょうか。

 答えは、高い評価を付けてもいい。つまり「実用的にうまくいけばそれが正しい」という発想は、プラグマティズムと呼ばれます。

 プラグマティズムはデューイが完成したアメリカ生まれの思想で、不確定な状況に対し、問題を設定し、仮説を立てて推論し、やってみる。途中で間違えたと分かったら修正すればいい、結果的にうまくいけばどんなやり方であったとしても、途中でいくら失敗したとしてもOK。失敗も次の成功へのヒントとなると考えます。

哲学KeyWord:プラグマティズム
ギリシャ語で行為や実践を意味する「プラグマ」に由来する語。C.S.パースが唱えウィリアム・ジェームズが発展させ、デューイによって完成。知識とはそこから引き出される効果によって確定されるものであり、その知識が実生活に有用であれば真理であるとする。