大切なのは、自分の気持ち。プラトン的には相手の気持ちはどうでもいい

 教室から聞こえてくる笑い声に心が弾んだり、笑顔を向けている相手が自分でないことに打ちのめされたり。片思いのときのほうが、相手の言動に一喜一憂し熱い思いを抱えていたのではないでしょうか。

 恋愛は自分がするもの。相手のことを考えて切なくなったり、焦がれたりするためには、実は相手の気持ちはどうでもいいのです。むしろ、相手の気持ちや行動が読めないからこそ、思いは募り盛り上がる。以前のようなフレッシュな感性が呼び覚まされるはずです。

本紹介
もっとプラトン!
『饗宴』(光文社古典新訳文庫)
プラトン(著)、中澤 務(訳)

悲劇詩人アガトンの屋敷で開かれた饗宴に集まったソクラテス他6人の才人たちが、少年愛を中心に、人間のさまざまな愛の形を取り上げ、即席でギリシャ神話に登場する愛の神、エロス神を賛美する演説を披露しあう。哲学書としてだけでなく文学作品としても傑作。

(取材・文/中城邦子 人物写真/洞澤佐智子 イラスト/鈴木衣津子)