プロのサッカークラブチーム、コンサドーレ札幌で選手10人程度の食事サポートしていた村野明子さんは、寮を立ち上げて寮母として本格的にアスリートを食で支え始めます。やがて他チームからも注目され、ヴィッセル神戸の寮に移籍。ついに自分で給食会社を立ち上げることになります。そこには、家族のように選手たちを支えてきた村野さんの強い思いがありました。
(上)「ママの夢は?」で専業主婦からの挑戦、Jリーグ寮母に
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会社経営を始めて感じた夢がかなってしまう怖さ
編集(以下、略) 会社を立ち上げて、事業者として関わったセレッソ大阪での寮母の仕事はいかがでしたか?
村野明子さん(以下、村野) 初めて経営に関わることになり、戸惑いもありました。経理のことなど慣れない仕事もあって、毎日目まぐるしく働いているうちに、新型コロナウイルス禍になったんです。バーベキューなどのイベントももちろんできませんし、食事もそれぞれの個室で食べるしかできなくなり、選手とコミュニケーションが取りづらい時期も。集団生活ならではの良さが、パンデミックのような環境では失われてしまうことを実感しました。
それ以前も、何かあってはいけないと思ってはいましたが、会社として関わることで、例えばクラスターを出すようなことは絶対に起こしてはいけないと守りのスタンスになってしまう。こんなにも見る角度が変わってくるんだなと学びました。
セレッソ大阪の契約が満了になると、今度は横浜Fマリノスから、日産スタジアム内にレストランを開くことと、アカデミー生の食事を提供することのオファーをいただきました。
主婦だったときに定食屋さんをやりたいと思っていた夢が20年越しでかなうことになったのですが、かなってしまう怖さもありました。
飲食店経営の経験がないので、何食分用意すればいいのか、原価計算はどうするのかなど、すべて手探り状態で。経営的な部分は夫が詳しいので、アドバイスをもらっています。