人材マネジメントのコンサル事業を行う企業で、企業研修などを担当している堀利恵さん(44歳)は、今年4月に12年ぶりの正社員として働き始めたばかり。20代は超氷河期の就活に翻弄され、30代では9年間専業主婦をした。扶養の範囲内でさまざまな仕事を経験し、42歳で日本女子大学のリカレント教育課程にチャレンジ。1年間の学びを経て、今の仕事をつかんだ。「社会に出てからずっと、働けない不安と隣り合わせだった」という堀さんのキャリアとは――。

(上)氷河期世代の44歳 ブラックな働き方と専業主婦の狭間 ←今回はココ
(下)42歳から1年「学び直し」専業主婦が12年ぶり正社員

 「ブランクのある私が、正社員で仕事なんて……自信がない」――いったん、仕事の現場を離れると、キャリアを積むことに気後れや焦りを感じる人は少なくないだろう。堀利恵さん(44歳)もその一人だった。

44歳で12年ぶりに正社員になった堀利恵さん
44歳で12年ぶりに正社員になった堀利恵さん

 超氷河期の就活に翻弄され、「働きたくても働けなかった」「働けても激務しかなかった」世代。結果的に仕事で体を壊し、9年間専業主婦になった。それでも、結婚や出産によるライフスタイルの変化に対応しながら、扶養の範囲内でさまざまな仕事にチャレンジ。そして一念発起し、42歳で日本女子大学のリカレント教育課程に入学。1年間の学びを経て、今、マネジメントのコンサル事業を行う「ベクトル」で、企業研修をサポートする正社員のコンサルタントとして働いている。

 「正社員として働くのは32歳以来、実に12年ぶりです。再就職してから数カ月しかたっていないので、今は、『早く仕事を覚えよう』『しっかりきっちり働こう』という気持ちで必死です」と笑う。

氷河期を乗り越えて就職するも、体を壊して二度の退職

 堀さんは1999年に大学を卒業。就職氷河期の時代で、就活は難航を極めた。「今では考えられないパワハラ発言ですが、就活で企業説明会に行っても『今年の採用数は50人。女子の採用予定はありません。それでも話を聞きたいなら、いてもらってもかまいません』と言われるような状況でした。総合職で働きたいと思っていましたが、その募集すらない。同級生みんなで『私たち、この先どうなるんだろうね』と不安がっていました」