週に2~3回、静岡から新幹線通勤をしてチェンジウェーブで広報として働く鈴木富貴さん(49歳)。夫、中学生の娘と暮らす地元静岡では、キャリア・ジャーナリストとしての活動も行っており、組織、個人、両方のキャリアを2都市で同時並行させるパラレル・キャリアを軽やかに実現しているように見える。しかし、ここに至るまでには「自分らしい仕事」を求め、不安と焦りの中で迷走していた過去があった。

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48歳で正社員に 新幹線通勤パラレル・キャリアへの道


キャリアブランク中の出口の見えない迷路

 鈴木さんが正社員として働き始めたのは1年前の48歳の時。会社で働くのはなんと12年ぶりだった。未経験の仕事にもトライし、刺激的で充実した日々を過ごす鈴木さんだが、この数年は出口の見えない迷路をさまよっていた。

 「最近ですね、これでよかったんだ、と思えるようになったのは。それまでは、悩んだり迷ったり、嫉妬したり落ち込んだり。今はそれも全部含めてよかった、どんな経験も価値になるんだなと思えるようになりました」

 鈴木さんの12年間のキャリアブランク中にいったい何があったのか。

「43歳からドロドロの自分探しにハマったんです」
「43歳からドロドロの自分探しにハマったんです」

 12年前、鈴木さんは夫の海外転勤に帯同するため、37歳で勤めていたテレビ局を退職し、専業主婦になった。テレビ局時代には、報道記者、ディレクターとして合わせて15年勤務。社会、政治、経済、文化……さまざまな分野の仕事を経験し、転勤も海外取材も体当たりでこなしてきた。カメラを抱えての取材もリポーターも、ニュースも情報番組も、裏方も表に出る仕事も「すべてやり切ったので、スッキリした気持ちで海外駐在での子育て生活を楽しみました」

 異変が起きたのは帰国して3年、娘が小学2年生になり、生活が落ち着いてきた頃のこと。「私って、何がしたいのか分からない」――43歳の自分がむなしさでさいなまれるようになったのだ。