「子どもの反抗期が来たら、もう一度働こうと決めていました」という宮内明子さん(45歳)。専業主婦の間も英語力の維持や体力づくりを怠らず、8年のブランクを乗り越えて再就職を果たした。「優秀なスペシャリストに囲まれて刺激的な職場です」という宮内さんに、再就職までの準備や葛藤、これからの目標を聞いた。

(上)「子の中学入学で働き直す」英語力、体力、断捨離で準備
(下)専業主婦の経験に無駄なし 目指すは「相撲部屋の女将」 ←今回はココ

人工流れ星を使った事業に取り組む企業、ALE(エール)で働く宮内明子さん。後ろにあるのは人工衛星の動作確認などのために宇宙空間の環境を再現する装置
人工流れ星を使った事業に取り組む企業、ALE(エール)で働く宮内明子さん。後ろにあるのは人工衛星の動作確認などのために宇宙空間の環境を再現する装置

再就職に悩み、挑む姿を子どもに見てほしかった

 再就職に備えて、海外のYouTube動画を聞き流して英語力をキープしたり、筋トレや断捨離をしたりといった努力を続けていた宮内明子さん。人工流れ星を夜空に輝かせるという世界初の事業に取り組む企業、ALE(エール)を紹介され、書類選考を通過して、1次面接の連絡をもらった。

 ところが同じ頃、「長男が、中学校の新生活に慣れずに苦戦していたんです。これはもう少し再就職を先延ばしにしたほうがいいのか、と悩みました」。

 そのときに宮内さんの頭をよぎったのは、20代でニューヨーク出張をしていたときに遭遇した同時多発テロ事件のこと。そして2011年3月11日に起きた東日本大震災のときのことも思い出した。「人生はいつ終わるか分からない。そして、人生ですべての条件が完璧にそろうタイミングなんてない。幸運の女神には前髪しかない、今こそつかむときだ! と思って1次面接を受けに行きました」

 宮内さんは、「再就職に挑んでいる自分の姿を、子どもにも見てほしかったんです」ともいう。書き上げた履歴書や、ALEのホームページも見せた。もし残念な結果になったとしても、その過程も含めて見せたかったという。面接を受けるか悩んでいたとき、「『僕を理由に仕事を諦めてほしくない。僕も中学校に慣れるように頑張るから、お母さんも面接頑張って』と言ってくれて。その言葉がすごく励みになり、後押しもしてくれました」。