「専業主婦のときも、誰よりも『仕事』をしていたよ」

 面接には緊張して臨んだが、面接官の人柄のおかげですぐにリラックスし、自分らしく話をすることができた。衛星通信事業会社に勤めていた当時のことや宇宙が好きなこと、天文台やロケットの打ち上げを見に行ったことなどを話し、「まるで昔から勤めていたかのような心地よさ」を感じたという。

 再就職が決まったとき、ある親友の言葉が胸に響いた。

 「『あなたのことを無職だと思ったことはないよ。専業主婦時代も子育てや家事に工夫を凝らして、毎日誰よりも仕事をしていたよ』と言ってくれたんです」。例えば、スケジュールの管理。期日が決まっている案件はカレンダーに入力し、タスクリストで管理し、さらに大きな付箋に書いて目立つところに貼る……と何重にもリマインダーをセットしているが、「これは子どもに関わる提出物などの期限を忘れないためにしていたことと同じ」という。

 「忍耐力やマルチタスクを同時にこなす力、コミュニケーション力などは、専業主婦生活を通じて身に付いたかもしれません。もしも今、専業主婦で自信がないという人がいたら、親友の言葉をそのまま伝えたいですね。人生のどんな経験にも無駄はないと思います」

 だが、やり残したことはあるという。

 「マルチタスクをこなすのが得意といっても、しょせんは自己評価です。何か目に見える結果を得たいと思い、専業主婦からサイボウズに再就職した江原なおみさんを見習って、TOEICで990点を取ることを目標にしていました。MOSも受験しようと思っていたのですが、早々に内定を頂いたのでどちらも実現しないまま。今は勉強を再開して、早く目標を達成したいです」