「子どもが小さいうちは子育てに専念する。その代わり中学生になったら働こうと決めていた」という宮内明子さん(45歳)。大学卒業後に入社した会社を、結婚を機に退職。専業主婦の期間を経て8年ぶりに、宇宙スタートアップ企業、ALE(エール)への再就職を果たした。専業主婦の間も目標を見失わず、地道に準備を続けられた原動力について聞いた。

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 人工衛星から「流れ星の素」を放出して、壮大な人工流れ星を地上から楽しむ。同時に、その様子を観測して大気圏についての貴重なデータを取得し、気候変動などの解明に寄与する――。2011年に設立されたALEは「世界初の人工流れ星による宇宙エンターテインメント&サイエンス」というユニークな事業に取り組む企業だ。宮内明子さんは2019年に、ALEのアドミニストレーション&オペレーション職として採用され、再就職を果たした。

 現在は、代表取締役社長でありCEOである岡島礼奈さんのサポートや株主総会事務局など、バックオフィス業務全般に携わっている。

 「前回働いてから8年という長いブランクがあったので、どこでもいい、どんな待遇でもいい。誰か私を拾って! という気持ちで再就職活動を始めました。内定後に『チーム一同、お待ちしています』と言っていただいて、本当にうれしかったです

宇宙スタートアップ企業のALEで働く宮内明子さん。「高校時代は天文部。就職エージェントには宇宙が好きとは一言もアピールしなかったのに、ALEを紹介されたのは不思議なご縁です」
宇宙スタートアップ企業のALEで働く宮内明子さん。「高校時代は天文部。就職エージェントには宇宙が好きとは一言もアピールしなかったのに、ALEを紹介されたのは不思議なご縁です」

 宮内さんは大学卒業後、衛星通信事業を行う企業に入社した。ほかに大手企業からも内定を得ていたが、面白そうだと感じたほうを選んだ。入社後は一般職として秘書業務を経験。後に総合職への転換試験を受け、投資家向け広報(IR)業務などを担当した。激務が続いたがやりがいがあり、社員同士の仲も良く「大好きな会社」だった。しかし、30歳で結婚して退職した。

 「夫も忙しくて残業続き、単身赴任もある仕事だったので、サポート役に徹しようと思ったんです。仕事を辞めることに後悔はなく、前向きな気持ちから専業主婦になりました。ただ、周囲の友人は仕事を続けていたので、『働くこと』に関しては常に頭のどこかにあったのかもしれません」