専業主婦として30年以上家庭を切り盛りした後、長女と共に起業に踏み出した仲本律枝さん(62歳)。仕事で発揮するコミュニケーション力、調整力、そして度胸を培った大きな経験は、頼まれて参加したPTA活動だった。日本各地を飛び回る現在、仕事に取り組めるのは家族という基盤があるからこそという。

(上)専業主婦歴33年で長女と起業 ゼロからの営業が花開く
(下)専業主婦時代のPTA活動が育てた、一番大事なスキル ←今回はココ

 長女の千津さんと共に50代後半で起業、経営者となり生活が一変した仲本律枝さん。大胆な「アポなし営業」で大手百貨店との取引を獲得したほか、さまざまな業態の小売業とポップアップストアを次々に展開、販路を広げた。一方で、直営店やオンラインストアの運営、商品在庫の管理業務もこなす。就業経験がほとんどない律枝さんだが、高いコミュニケーション力と実行力、そして度胸を発揮して、ウガンダ発のオリジナルバッグを製造販売する「リッチー・エブリデイ」のビジネスを育ててきた。

 そんな律枝さんが「最も大きな影響を受けた」というのが、4人の子どもたちの小学校時代に関わったPTAなどの地域活動だった。さまざまな立場の人に対するコミュニケーションの取り方、利害の調整、事務作業……。地域活動の中には多様な経験があったという。

リッチー・エブリデイ代表の仲本律枝さん。「PTAの経験が与えてくれたものは本当に大きかったと思います」
リッチー・エブリデイ代表の仲本律枝さん。「PTAの経験が与えてくれたものは本当に大きかったと思います」