PTA会長を「やりなさい」と背中を押してくれた義母

 25歳のときに結婚した夫は、会社勤めで単身赴任の期間が長かった。「結婚に際して、夫の希望は『とにかく家を守ってほしい、子どもの教育をしてほしい』ということでした。もともと料理や裁縫、部屋の模様替えなど家の中のことをするのが大好きで、特に外に出て働きたいとは思いませんでしたし、同居した義母も優しい人で、幸せな生活でした」

 子どもたちが小学校に上がると、少しずつPTAの活動に参加し始めた。そこでの経験が、律枝さんの現在につながるコミュニケーション能力や折衝力に与えた影響は「本当に大きかった」という。そしてある日「次のPTA会長になってほしい」と依頼がきた。

 PTA会長の仕事は学校内にとどまらず、地域の中で多岐にわたる。引き受ければ相当忙しくなることは分かっていた。1週間悩んだという律枝さん。その背中を押したのは「何を迷っているの? 逃したらもったいない、やりなさい」という同居の義母の言葉だった。

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取材・文/秋山知子(日経ARIA編集部) 写真/鈴木愛子