4人の子どもを育て、単身赴任の夫を専業主婦として支えてきた仲本律枝さん(62歳)。末っ子が大学に入学し、「これからの人生」を考え始めたときに長女の千津さんが起業。千津さんからのオファーを受けて、ウガンダ発のバッグのブランドを共同経営者として立ち上げた。50代後半になって始めたビジネスは急成長。専業主婦歴33年で新しい世界に踏み出せた理由とは?

(上)専業主婦歴33年で長女と起業 ゼロからの営業が花開く ←今回はココ
(下)専業主婦時代のPTA活動が育てた、一番大事なスキル

 自然界から取った大胆なモチーフと明るい色使い、強いインパクトを与えるアフリカンプリントのバッグや小物。RICCI EVERYDAY(リッチー・エブリデイ)の商品はすべてウガンダで企画、製作し、輸入販売する。全く同じ商品は2つとない一点もので、丁寧なつくり。そして、経済的に恵まれないウガンダのシングルマザーたちが製作しているというストーリー性が、他にない商品として人気を呼んでいる。

 同社商品の日本での販売を率いるのが、代表の仲本律枝さん。この会社を2015年に立ち上げるまで、30年以上専業主婦で、就業経験はほとんどなかったという。

 律枝さんの長女で、ウガンダでの事業を統括するのが創業者でありCOOの仲本千津さん(35歳)。大手銀行を退職後、単身アフリカに渡り、NGOでの勤務を経てリッチー・エブリデイを母娘の二人三脚でスタートさせたのだ。

リッチー・エブリデイ代表の仲本律枝さん。カラフルなプリントで人気のウガンダ発バッグと小物があふれる直営店で
リッチー・エブリデイ代表の仲本律枝さん。カラフルなプリントで人気のウガンダ発バッグと小物があふれる直営店で

 「結婚してから一度も、仕事をしようと思ったことはありませんでした」という律枝さん。しかし、ウガンダを拠点とする千津さんから日本国内の販売を任され、百貨店などに次々と販路を広げ、19年5月には東京に直営店もオープンした。

 以前は「1人で飛行機に乗ったこともなかった」という律枝さんは、今では1年のうちほぼ半分は出張先で過ごす。各地の百貨店などで開催されるポップアップ(期間限定)ストアと直営店舗の運営、オンラインショップの運営、商談、展示会、広報までも担当する。