例えば私が女性同士で名前を呼ばれるとき。

◆河崎さん → ごくプレーンでニュートラル、感情的にはそれがプラマイゼロ地点
◆河崎ちゃん → 私のキャラではそんな風に呼ばれたことないけど、なんかギョーカイっぽくてプレイフルな印象
◆河崎 → 瞬間的に自分の中の後輩マインド、下っ端マインドが起動されて「ハイッ」と姿勢をただすと思う
◆環さん → 「下の名前の親しみ」+「『さん』の敬意」で絶妙にポジティブな「お友達になりましょう」宣言
◆環ちゃん → 同級生とか親戚とか先輩とかで私を古くから知っているか、またはすでに仲良し女子同士
◆環 → 「同じ釜の飯を食った」マブダチ感

ところが、これが男性に下の名前で呼ばれるとなると、状況が一変する。

◆環さん → 「おっ? なんで下の名前で呼んだ? どういう意図?」
◆環ちゃん → 「ほう……。勇気あるなキミ」
◆環 → 「えーと、そちらさまはアタクシのダンナか元カレかなにかでいらっしゃいましたでしょうか」

 アラフィフに足を踏み入れたコワい私を下の名前で呼んでくださるような奇特な男性はまあいらっしゃらないがゆえに、オトナの女を下の名前で呼ぶことにはなんかムフフと口元が緩みかねない「相当な一線」を越える印象を受ける。「あっ、やっ、ちょっと、ダメだったら!」感である。だからなのだろう、知恵のある年下男子は戦略的に年上女子を「○○ちゃん」「○○(呼び捨て)」と呼んで、相手をメロメロにするのだそうだ。ふーんそうなのか、冥土のみやげに一度呼ばれてみたいものだな……(遠い目)。

女性上司となるARIA世代の「敬称略」マナーとは?

 このようなご時世、男性の職場のマナーをあれこれ糾弾するだけでなく、振り返って女性の側も、女性同士や、対男性のときに相手をどう呼ぶかというコミュニケーションの繊細な感性は備えていた方がいい時代なのだと思う。

 アイドルファンなどのオタク女子界隈(かいわい)や、リアル世間での年上女子から年下男子への態度にも見受けられるのだが、萌えやらキュンやらの対象を

◆山田さん→山田クン→山田
◆太郎さん→太郎クン→太郎

 みたいに、愛が(一方的に)濃縮されるにつれて距離を(一方的に)縮めていく傾向がある。

 「太郎がさぁ」。この、女子が男子を「敬称略」して呼び捨てするときの「私のもの」オーラったら、同じ女性から見てもすごいものが。