自粛生活も2カ月半、なんとか乗り越えてようやく活動再開し始めました。ところが、いざ自粛が明けてみるとさまざまな不調を訴える人が続出。生活のリズムや環境をいきなり変えたストレスは、気づかないうちに心や体に降り積もっていたようです。河崎環さんのコラム、今回のテーマは「コロナ不調」です。

自粛期間が明けたと思ったら、ウィズコロナの不調が襲ってきた

 緊急事態宣言が解除されておよそ4週間。だが東京都の発表では、感染者2ケタ台の日が続くなど、まだまだ気を抜けない状況だ。そんな中でも人々の通勤や登校が少しずつ再開。営業可能な業種は段階的に増え、飲食店の営業時間も徐々に延長されて、世間は「コロナ前」の顔を取り戻しつつあるかのように見える。

 ……でも、新型コロナは「なかったこと」にはならない。自粛期間中のストレスもすごかったが、実は今自粛明けのストレスのほうにびっくりしている女性も多い。一度コロナ自粛で自分の体や心の声に耳を傾け「何かに目覚めた」がゆえに、そう簡単に以前の暮らしには戻れない、戻りたくない。ウィズコロナ時代、私たちは自分や社会の価値観の変化とじっくり向き合うことになりそうなのである。

 「3カ月ぶりに美容院に行ったら、後頭部に10円ハゲができてたんですよ……」。久しぶりに出社したオフィスでアラフォーお年ごろの働く女性が嘆くと、「私も抜け毛がすごいんです!」「肩こりと背中の張りがすごくて寝られない」「耳鳴りとめまいが……」「私は顎(がく)関節症が再発しちゃって」と、他の女性たちが口々に不調を訴え始めた。どれも、お年ごろ女性にとってはストレスが原因で出ることの多い症状ばかりだ。

気づかないうちにたまったストレスに、体がサインを出し始めた
気づかないうちにたまったストレスに、体がサインを出し始めた

 そんなストレスによる円形脱毛症を「コロナ抜け毛」と言うとか言わないとか。要は、新型コロナウイルス感染そのものよりも、新型コロナへの不安や、生活の変化によって生じたストレスで女性たちは一気に体調を崩していたのである。まだ自粛期間中は自宅にいて時間もあったから、それらの症状も、だましだましやり過ごせていた。だが自粛解禁となって、再出社や再登校など、自分や家族の生活が変わることでまた新たなストレスがかかり、新型コロナ感染の不安がまだ消えたわけではない外の世界との行き来でみんな体の変なところにグッと力が入ってしまって、体が悲鳴を上げているのだろうか。