切れ味抜群の筆力であらゆる世代をうならせている人気コラムニスト・河崎環さん。「私もARIA世代ど真ん中」という河崎さんが、同世代ならではの鋭い視点で、40~50代の女性を取り巻く事情や実態に斬り込んでいく。その名も「オトナの劇薬」。刺激あふれる劇薬をご堪能あれ。

 私たちARIA世代には、もはや「ドーピング」が必要だ(言い方は悪いが)。そう、前回の記事で鼻息荒くお伝えしたが、改めて正確に言うと、私たちARIA世代には「正しいドーピング」が必要なのである

「正しいドーピング」とは「ちゃんと引き返せる程度」

 ふと周りを見回すと、知り合いの40代、50代女性たちは皆、仕事や家庭の傍らに趣味の奥深い世界(またの名を「沼」という)を持って、いつもその話で持ちきり。

 宝塚やジャニーズや、バンドマンやお笑い芸人を見ては「萌え苦しい」「最 and 高」「今日も推しのために働ける」と歓声(悲鳴)を上げる人もいれば、韓流やイケメン俳優を見て「ヤバい、尊い」と胸を高鳴らせたり、スポーツ選手のカラダに「あの大胸筋が至高」と見とれながらメガホンや拳を振り上げたり、中には「触れない2次元や2.5次元よりも、触れる3次元」とヒミツのリアルな恋に走る人もいるというわけ。

 何を隠そう、私も「イケメンと暗闇で汗を流すこと」に大いにハマっている。

 いや、誤解を呼びそうなので正確を期すなら、「暗闇でイケメンと一緒に大音量の音楽にトランスしてハァハァ汗を流すこと」にハマっている。しまった、もっと問題があるっぽいぞ、どうしよう。