2021年は、米バイデン新政権を支える女性と共に幕開けしました。女性たちは自分を取り巻く見えない呪縛と向き合い続け、そこから自由になろうと努力し、社会の空気を動かし始めました。一方、男性たちは自分にかけられた呪縛を解くことができるのでしょうか。コラムニストの河崎環さんが「男らしさ」に縛られる男性たちにエールを送ります。

「男らしく」は呪いかも 百合ちゃんのつぶやきが象徴する2021年の幕開け

 年末年始はGoToトラベル全国一斉停止で、酒とテレビと動画配信サービスに溺れるのみの完璧な寝正月をキメた河崎が「こんなことで社会復帰できるのだろうか……」と二日酔いでズキズキ痛む頭を抱えているところに、編集女史の天の声が響いた。

編集 「河崎さーん、いつまで寝てるんですか。さ、仕事してください。この年末年始は男女のステレオタイプに違和感を訴える話題が多かったですね」

河崎 「あー、ファミマの『お母さん食堂』炎上マーケティングとか、駅伝の『男だろ!』とかですかね(正座する)」

 「そうです。私が好きなテレビ番組『はじめてのおつかい』でも、年末の総集編で5歳くらいの男の子が『男なんだから泣くな』『男だろ、行ってこい!』とお父さんから励まされておつかいに行くシーンがあったんです。男とか女とか、私たちはこんなに小さいときから徹底的にすり込まれているのかとショックでした」

 「ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の新春スペシャルも、テーマは『女性の妊娠出産』ではなく、みくりと平匡がともに当事者となり、『カップルとしての妊娠出産』を乗り越えていくストーリーでした。

 いろいろな名セリフがTwitterをにぎわしましたが、百合ちゃんの『男らしくあらねば……。それもまた、呪いかもね』は象徴的だったかもしれないですね。男らしさの呪いはこれまでもさかんに言われてきたことではありますが、いまだにその呪いは解けていない。だけどこの2021年にこんなふうにして広く話題になったのは、その呪いが解けかけている兆しなのだ、とも受け取れます」