「女性が働く」に強い関心を持ち始める

篠田 中でも強く心に響いたのが、メリンダ・ゲイツさんの回顧録。アメリカで2019年4月に出版され、日本では半年後に翻訳版『いま、翔び立つとき』(光文社)が出版されたのですが、私は一足早く5月に原著を読んでいました。

 この本で発信されるのは、夫のビルさんと共にゲイツ財団の共同議長をなさっているメリンダさんが、「女性の社会的地位が高まることが、どれだけ世界にインパクトを与えるか」というメッセージ。

 過去には「女性はこうあるべき」という固定観念にとらわれていた時期があったこと、もともとシャイな性格で、夫を陰から支えてきたメリンダさんが「自分が果たせる役割がある」と認識を変えていったこと。そんな一人の女性の葛藤と成長の物語を夢中になって読みながら、僭越(せんえつ)にも我が身を重ね、大きく揺さぶられました。

「メリンダさんが経験してきたことに自然と自分を重ね合わせていて…」
「メリンダさんが経験してきたことに自然と自分を重ね合わせていて…」

―― 一人の女性としての生き方やキャリア構築、社会とのつながり方に改めて関心が向くようになったということですね。

篠田 そうなんです。ちょうど同じ時期にもう一つ、印象的な出来事がありました。

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篠田真貴子 ジョブレスを経て見つけた「自分の役割」

取材・文/宮本恵理子 写真/鈴木愛子