ありがたいことに、退任のニュースを知って声を掛けてくださる方々はいらっしゃったのですが、全部、「在任中は一切考えられないので、辞めてからお会いしましょう」とお伝えして。

 私、これまで5社ほど経験していますが、「次を決めないまま辞める」なんて初めて(笑)。

 インタビューを受けている今(2018年12月半ば)は、退任してちょうど3週間ほどたったくらいですが、まだ次は決めていません。一つの会社の所属を離れて、「ただの篠田真貴子」に立ち戻ったときに、何を感じ、何を志向するのか。いっぺん、まっさらな「更地」になってから、次を考えたいなと思ったんです。

 前職の延長線上ではなく、バイアスなしのフラットな場所から、次の行き先を見つけたかった。若い頃の転職では、「一刻でも早く、自分を評価してくれるところに」あるいは「足りないスキルを身に付けられるところに」と急いで次を探していましたけれど、今は全く新しい境地にいます。

見晴らしがいい場所を選びたい

―― SNSでも「ジョブレスです!」と明るく公言し、「無職」の生活を新鮮に楽しんでいる様子が伝わってきます。毎日のように人に会い、お忙しいのだとか?

篠田 そうなんです。辞めたら家にいる時間が増えるのかと思っていたら逆(笑)。「ほぼ日の」という冠が取れた途端に私に価値を見いださなくなる方もいらっしゃると思いますが、そうではなく面白がって会う約束をしてくださる方も思った以上にいらっしゃったのがうれしいですね。懐かしい再会もあれば、新しい出会いも。

 今の私はどこにも属さず「ノー利害」な身分なので、誰とでも率直な話ができるし、「実は、私もこういう決断をしたことがあってね」と経験談を教えてくださる方もいて。そういうお互いの生き方に触れ合うような深い対話を大切な人たちとできる日々を、今とても楽しんでいます。

 もっぱら夫からは「会社辞めたら家にいる時間が長くなるから部屋が片付くと思う! って、言ってなかった?」なんて鋭く突っ込まれていますけど(笑)。

―― まだ思索中ということですが、次を決めるための基準は設けていますか?