カラダの中で、過剰な命令が始まるのが更年期

―― 40~50代の管理職ARIAは、ちょうど「更年期」に当たる世代です。実際、更年期と呼ばれるこの時期に、私たちのカラダの中ではどんな変化が起きるのでしょうか。

高尾 女性ホルモンの工場である卵巣から女性ホルモンが分泌されず、卵巣機能が終了するのが「閉経」です。12カ月間、出血がない状態が閉経と定義付けられています。日本人の閉経の中央値は50.5歳。その前後5年ずつ、つまり45〜55歳が更年期と呼ばれる時期です。

 女性ホルモンの分泌の司令は、司令塔である脳の視床下部から下垂体を経由して卵巣へ伝わります。でも、更年期になると視床下部が「ホルモンをつくって」といくら指令を出しても、卵巣は女性ホルモンを分泌することができなくなる。すると、視床下部は混乱を起こして「もっとつくれ!」とさらに何倍もの司令を出してしまうんです。

「もっとつくれ」という視床下部からの命令に、ホルモン工場である卵巣が応えられなくなるのが更年期の始まり
「もっとつくれ」という視床下部からの命令に、ホルモン工場である卵巣が応えられなくなるのが更年期の始まり

 この視床下部は、ホルモンの分泌だけでなく、自律神経や免疫系の司令塔でもあり、視床下部の混乱が自律神経系まで影響して起こるのが、更年期症状として代表的な「発汗」や「ほてり」です。