母親の介護は20代から。そして次は父の介護に――自分のことをずっと後回しにしてきた人生だった。でも、50歳を目前に控え、ふと思うのです。これからの人生を一緒に歩むパートナーが欲しいって。

 これは、許されない恋に落ちてしまった罰に違いない。まさか15年間も、罰にとらわれることになるなんて――。

美奈子さん(仮名、47歳、ITコンサル、独身)

 24歳から3年間付き合った既婚者と別れた直後のこと。母が、50歳で若年性アルツハイマーだと分かったとき、私が罪を犯してしまったからだ……と思わずにはいられなかった。

 それから母が他界するまでの15年間、「私は幸せになってはいけない」と自分に呪いをかけ続けた。収入が不安定な父に代わって家族の稼ぎ頭になり、過労で体調を崩してもひたすら働いた。好きな人ができても、恋愛に使う時間とお金の余裕がなかったから、決して踏み込まなかった。

 母亡き後は、学費を援助していた10歳下の弟の結婚を見届け、しばらくは80代の父と二人で暮らした。その父も病気になって介護レベルが上がり、昨年から高齢者施設へ。私は40代中盤を過ぎて、ようやく自由を獲得できたのだ。

 これからは、「自分の人生」を生きる。自分のやりたいことに時間を使って、行きたいところに行き、会いたい人に会う。仕事も自分のためにして、新しい挑戦だってする。好きな人ができたら、自分から告白する。もし失敗しても、自分一人が立ち直るだけでいいのだ。恐れることなく、なんだってできるに違いない。

 だから、あともう少し、自分を許せるようになりたい。幸せになっていいんだよ、と自分に言えるようになりたい。

「自分を許せるようになりたい」
「自分を許せるようになりたい」

 道ならぬ恋の相手は、8歳年上の職場の先輩だった。私のことをとても大事にしてくれる人だったが、徐々に私の中で関係を続けることへの後ろめたさが募り、罪悪感で自信が奪われていくのが分かった。