誰か新しい人と出会って、結婚したいわけじゃない。でも、これまで頑張ってきた分、ふと思うのです。これからの人生を一緒に歩むパートナーが欲しいって。

晃子(50歳・独身・2人の子と同居・内科医)

 人生の全部を一緒に過ごすことはできなかったけど、15年分の人生は一緒に過ごした元夫。その時間も私が生きた一部で、望んだことだから間違いはなかった。そう思えるようになったのはつい最近。離婚してから5、6年かかってしまったけど、ちゃんと気持ちの整理をつけられた。直らない借金癖、子どもへの罵声、離婚を拒んで子どもの学校や私の職場で繰り返した迷惑行為……。

 いろいろあったけど、もし時間を戻せるのなら、元夫と話す時間をきちんとつくる、家族に感謝する、家族を犠牲にするような働き方をしない、というこの3つを守りたい。彼も最初から人に罵声を浴びせる人ではなかったから。変わってしまったのは、うまくいかないことが重なって少しずつプライドが傷つけられた結果だ。一緒にいた時間は、嫌なことばかりじゃなかったから。

彼が運命の人だと思っていたけれど…
彼が運命の人だと思っていたけれど…

 元夫(53歳・メーカー・会社員)と初めて会ったのは、27歳のとき。大学病院に勤めている頃だった。残業が多く、毎日のように怒られて自信を失いかけていた。そんなときに、ふらっと立ち寄ったバーにいたのが元夫だった。カウンター席だけの小さな店で、客は私と元夫だけ。目が合って軽く会釈したら、「お仕事帰りですか?」と。仕事が順調だったら相手にしなかっただろう。でも、自信を喪失して落ち込んでいたから、誰かに話を聞いてほしかった。「ええ。そちらもお仕事帰りですか?」と返していた。

 それをきっかけに2人で会うようになり、何回目かのデートで「仕事を辞めたい。でも、辞めても行き先がない」と愚痴をこぼしたら、「じゃあ、結婚しない?」と言われて、「それもいいかもね」と返していた。今思えば単純で、年齢の割に世間知らずだったと思うが、仕事を忘れられる“逃げ場”が欲しかったのだ。私の親は猛反対したが聞く耳を持たず、出会いから1年足らずで結婚した。

 結婚生活は元夫の実家でスタートした。夜間に急患が入ることがあったため、子どもができた後のことを考えると、義母と同居したほうがいいと思ったからだ。実際、子どもが生まれたら義母に面倒を見てもらえて助かった。が、元夫に多額の借金が発覚した。