誰か新しい人と出会って、結婚したいわけじゃない。でも、これまで頑張ってきた分、ふと思うのです。精神的な支えが欲しい。これからの人生を一緒に歩むパートナーが欲しいと。

 「誠さんを思うこの気持ちには、名前を付けないことにするね」

 去年のクリスマスに、彼にプレゼントのお菓子を送った時、一言そう書き添えた。彼を思っている気持ちを伝えたくなって、でも「好き」や「愛してる」はしっくりこない。そんな迷いごと伝えればいいかと思って、「名前を付けないことにするね」と。

「この私の気持ちは、簡単な言葉で言い表せない」
早紀
(仮名・50歳・フォトグラファー・既婚・子ども二人)

 彼を思う気持ちだけじゃなくて、彼との関係にも名前は付けたくない。既婚者同士の恋愛という言い方ではくくれない、縁やつながりを感じるから。これは、もしかしたら、私の50年の人生でもらえた、特別なご褒美かもしれないから。

疲れて硬くなった私の心をほぐしてくれた出会い

 誠さん(仮名・53歳・会社員)と出会ったのは、去年の冬に参加した、友達がやっている音楽サークルのイベント。彼はギターを弾いていて、その音色はとても優しくて、疲れて硬くなった心がほぐれた。本人に直接言うと、ほほ笑みながら曲やギターについて話してくれ、聞きながら、高校時代の憧れの先輩から話を聞いている錯覚に陥って、不思議な懐かしさも覚えた。

 ダンスも上手な彼は、うやうやしく私の手を取って、丁寧にステップの踏み方を教えてくれた。イベントが終わった後、フェイスブックでつながって、メッセージのやり取りが始まった。

 「早紀さん、おはようございます。今日は少しギターの練習をしてから、出勤します」