誰か新しい人と出会って、結婚したいわけじゃない。ただ、これまで頑張ってきた分、ふと思うのです。これからの人生を一緒に歩むパートナーが欲しいって――このフレーズから始まってきた本連載。でも、今回の主人公・ちあきさんの心境は、これまでの方とはちょっと違うようで…。

 私ってまだ、現役ぶっていたいんだろうなぁ。

 人生のパートナーとして、老後も手をつないでのんびり散歩するような相手を想像できることはできる。ただ、今の私には面白みに欠けるというか、別に、バツイチでも40代半ばでも、人生の方向性を定めなくてもいいじゃん! という気になってしまう。

 大病したり、著しく老化を痛感したりするようなことがあれば変わるだろうけど、いっそ、老後は老人ホームに入って、じいさんたちの恋心を片っ端から荒らすぞ! とか思うほうがしっくりくるのだ。

 そんな私は1年以上前から、世界中を飛び回るリーという16歳下の音楽家(30歳、仮名)と付き合っている。離婚した9年前に仕事で出会い、そのときは付き合って1年足らずで別れた。というか、彼のマネジメント会社にバレて強制終了を食らったのだ。その彼から突然連絡がきて復縁したものの、今回は「期間限定」で、付き合えるのは今春までという……。

ちあき
(仮名、46歳、バツイチ・独身、子なし、アート関係勤務)

 かつて結婚していた元夫は、8歳上の同業者だった。26歳から一緒に暮らし始めて、33歳で結婚し、37歳になる前日に離婚。離婚原因は、彼の浮気だ。浮気されたこと自体は、正直なところ、どうでもよかった。問題は、浮気相手の女性が精神的にかなり不安定だったこと。私の家に押しかけて来たり、私についてあることないことネットに書き込んでしまったり。一度2人を別れさせたら、彼女はうつ病になってしまい、より精神的に不安定な状態に……。

 そのときに気づいたのは、その女性だけを私から切り離すのではなく、元夫もまとめて切り離さないと、私が殺されるかもしれない、ということだった。相手の女性にしてみれば、邪魔で消えてほしいのは私なのだから。