コロナ禍で急速にテレワークが広まり、働き方や意識も様変わりしています。ワーク・ライフバランスコンサルタントとして1000社の働き方改革を主導してきた小室淑恵さんは「今こそ変革を定着させるチャンス」と断言します。Withコロナ時代の今、テレワークの波に乗り、ワークとライフのバランスを実現させながらキャリアを重ねるには何が必要なのか。全3回でご紹介していきます。

(1)小室淑恵 長時間労働のラスボス・霞が関を今こそ変える
(2)テレワークで「仕事時間が増えた」人と会社への処方箋
(3)小室淑恵 テレワークはチーム力を上げるチャンス ←今回はココ

働き方改革を進めると、テレワークもうまくいく

―― 企業の業種や職種によって、テレワークでは連携しにくかったり、顔を合わせないと進められなかったりすることもありますよね。

小室淑恵さん(以下、敬称略) もちろん、現地に行かないと仕事ができない業種や職種はあります。でも、例えばわが社がコンサルティングに入って2019年秋から働き方改革を実施したアパレル企業では、顕著な結果が出ました。

 アパレルメーカーは生地を触らないと仕事が進まないと思われていましたが、トライアルで2部署だけ働き方改革として「見える化・共有化」を進めたところ、コロナ禍で一斉にテレワークとなった際、その2チームだけは在宅でも困ることなく生産性高くアウトプットを出せました。その他のチームは仕事にならず、出社してしまう社員が多かったそうです。人事担当者も「こんなに差が出るのか」と驚いていました。働き方改革を進めるとテレワークもうまくいくのです。

 「うちの業種や職種では無理」「前例がない」と考えず、どんな企業でも、今の働き方よりもバージョンアップする余地は必ずあります。これまで1000社をコンサルティングしてきましたが、改革の余地がない会社はありませんでした。

生産性を上げるカギは仕事の「見える化・共有化」

―― オンラインでチームがうまく連携を取り、時間内で仕事の生産性を上げるには何が大切ですか?

小室 オンライン上での仕事のやり取りは、「遠隔パス回し」です。これは働き方改革と同様に、仕事の「見える化・共有化」がポイントになります。

 日ごろから仕事を個人フォルダに保存して属人化していると、ほかの社員に頼んだり相談したりするのは難しいでしょう。逆に、自分の仕事に分かりやすいインデックスをつけて共用フォルダに入れ、「見える化・共有化」を進めていれば、ほかのメンバーに仕事を振り分けて助けてもらうことも可能です。テレワークでなかなか会えなくても、職場にいるときと同じように仕事ができるはずです。

「仕事の共有化ができているとオンラインでのやり取りもスムーズです」(写真提供/ワーク・ライフバランス)
「仕事の共有化ができているとオンラインでのやり取りもスムーズです」(写真提供/ワーク・ライフバランス)