コロナ禍で急速にテレワークが広まり、働き方や意識も様変わりしています。ワーク・ライフバランスコンサルタントとして1000社の働き方改革を主導してきた小室淑恵さんは「今こそ変革を定着させるチャンス」と断言します。Withコロナの今、テレワークの波に乗り、ワークとライフのバランスを実現させながらキャリアを重ねるには何が必要なのか。全3回で紹介します。

(1)小室淑恵 長時間労働のラスボス・霞が関を今こそ変える
(2)テレワークで「仕事時間が増えた」人と会社への処方箋 ←今回はココ
(3)小室淑恵 リモートワーク時代に必要なコミュニケーション

―― コロナ禍で「出勤7割減」が打ち出され、テレワークが加速しましたが、それによってワークライフバランス(WLB)が乱れたり、生産効率が上がらなくなったりする企業があります。同じテレワークでも、うまく回る企業とそうでない企業の違いはどこにあるのでしょうか。

小室淑恵さん(以下、敬称略) 良かれと思ったテレワークがWLBを崩してしまう、そういう企業の最大の特徴は、従業員一人ひとりが時間を自律的に組み立てるトレーニングができていなかったという点です。

 受け身型の社員が多い企業の場合、「走れ」と指示されれば全力で走るけれど、指示命令がないと何をしていいか分からなくなります。「仕事をしていない」と思われそうで、アリバイ作りのようにメールにレスし続けてしまう人もいます。寝る直前までスマホを抱えて仕事をするようなことになりがちです。

 一方で、仕事に優先順位をつけ、自分で時間の使い方を決めて働ける社員が多ければ、テレワークになっても変わりなく、時間内でアウトプットが出せています。自分で終わりが明確にできるのです。

「受け身の社員が多い会社はテレワークで生産性が下がりがちです」(写真提供/ワーク・ライフバランス)
「受け身の社員が多い会社はテレワークで生産性が下がりがちです」(写真提供/ワーク・ライフバランス)

小室 育児などで短時間勤務をしている社員が多い職場も「自律的に働く」訓練ができていることが多いですね。時短勤務の人は「帰る時間までに上司にチェックしてもらうためには午前中に提出しないと間に合わない」と、終業時間から逆算して仕事を組み立てています。テレワークになって自宅で仕事をしても、時間自律的に働くことができています。

―― テレワークでWLBが崩れたと感じている人はどうすればいいのでしょうか?