意外に多い「夫への不満」への共感

柴門 やはり母親と息子の関わりというのは、母娘の関係とは違いますよね。ともすると疑似恋愛の対象にもなる息子が思春期を迎えて、自分の手を離れていこうとするときに、心に押し寄せる寂しさのようなもの。その空白を埋めるように、恋愛にハマっていく女性もいるのかもしれないですね。

―― 読者からの反響で、印象的なものはありましたか?

柴門 意外と多いのは、「夫への不満」への共感です(笑)。特にまりの夫に対して「あいつはひどい。もっとやっつけてほしい!」という反響は結構あります。

 まりは華やかだけど一途で古風なところもあって、林真理子さんも「3人の中でまりが一番好き」とメールをくださるんです。「遊んでいそうで、実は真面目なところがいい」って。

 まりは私が40代の頃に親しかった友人がモデルになっていて、彼女も若い頃にすごくモテた恋愛体質でした。人妻になってからもよく声をかけられていたけれど、彼女はなびかなかった。それがいいなって、側で見ていて思ったので。いや、本当はどうだったか、分からないけど(笑)。

「今の40代は働く女性が増えて、20年前の40代とは全然違う。ますます面白くなっているなと感じます」
「今の40代は働く女性が増えて、20年前の40代とは全然違う。ますます面白くなっているなと感じます」

100パターン以上の恋愛を取材した

―― やはり実在のモデルも参考にして、作品に生かされているのですね。

柴門 その意味では、今回の作品は私の恋愛研究の集大成といっていいと思います。5年前に『大人恋愛塾』(新潮社)という本になった企画では、アラフィフ・アラフォーの女性たちのリアルな恋愛事情を聞き取って分析してきましたし、『サンデー毎日』の連載では、20~50代の女性たちを職業別に3人くらいずつ集めて、その職業ならではの恋愛傾向を探る座談会もしていました。客室乗務員から、女医、商社ウーマン、銀行員、ネイリストまで、すごく面白かったですよ。

 さらにこの連載を始めるにあたっては、数年かけて100パターンくらいの恋愛話を取材したんです。その中に、駆け落ち未遂経験のある女性がいて、すごく興味深くて。駆け落ちしたくなる女性の心理はどういうものなのか、私なりに想像力を広げて、『恋母』の杏の夫の駆け落ち相手の人物描写に投影しました。

―― それだけ膨大なリサーチをして見えてきた、40代以降の女性たちの恋愛の特徴とは何でしたか?