どんな状況も落ち着いて必ず「日常」になる

 その日その日を生活していくということは、いろんな要素が詰め込まれた複合的な24時間がずっと連なっていくわけで、ひとり身であっても、結婚していても、いくつになっても、それなりに大変なもの。ただ、その割に何とかなってきてもいるという事実も体得している人生半ばの50代、そんな実感です。

 でも、それはもちろん介護なさっているご両親やご家族の体調や状態にもよるということは、分かっていただけるかと思っています。介護される側が認知症で徘徊(はいかい)してしまったり、暴言や暴力が日常的になってしまったり、痛みがあって眠れないなどの症状がある場合は、介護する側のご家族も精神的にも体力的にも追い込まれてしまうことは多々あります。今まさに、そのような状況にいらっしゃる方々にとっては、こうやって「クスッと笑えるような瞬間」を尋ねたり、答えようとしたりしていること自体に違和感を覚えることもあるだろうと想像し、共感しています。

 その一方で、父が療養した16年を共に過ごし、その中で母もだんだんと身体が利かなくなり、気付けば、かれこれ20年間、両親と寄り添って暮らしてきた私としては、いえ、私ですら、と言ったほうが正しいかもしれません。何とかなってきたのも事実です。今、どうにもつらくやり切れない状態であっても、まず医師によく相談し、介護職の方々と介護制度の中で適切なプランを組み立てて、家族で十分に話し合って進みさえすれば、状況を良くしていく糸口はきっと見えてきます。

 どんな状況でも少しずつでもだんだんと落ち着いて、必ず「日常」になっていくもの。この事実も私自身、忘れないでいたいと思っています。

「母の部屋の窓から見える春の花々」
「母の部屋の窓から見える春の花々」