女性ホルモンの転換期を迎えるARIA世代。何かと不調を起こしやすい更年期をうまく乗り切るには女性ホルモンの働きを知り、上手に付き合っていくことが大切です。人生100年時代といわれる今、後半の人生をより良く過ごすために、ARIA世代が知っておくべきことは? 東京医科歯科大学女性健康医学講座教授・寺内公一さんに聞いた女性ホルモンの最新知識を3回にわたってお届けします。

(1)物忘れ、集中力の低下、眠れない…これも更年期症状
(2)更年期障害を悪化させるスーパーウーマンシンドローム ←今回はココ
(3)ホルモン補充療法が閉経後の体に及ぼす効果とは?

更年期症状の要因はエストロゲンのゆらぎだけではない

―― 更年期は誰にも訪れるものだと分かりましたが、更年期症状が重い人もいれば、ほとんど出ない人もいます。その違いは何なのでしょうか。

寺内公一さん(以下、敬称略) 更年期症状の原因はエストロゲンのゆらぎだと話してきましたが、それだけであれば皆同様に症状が起きるはずです。でも実際はそうではない。更年期に起きる不調には3つの因子があると考えられます。

「職場や家庭でのストレスも更年期の不調を引き起こす要因となります」(東京医科歯科大学教授・寺内公一さん)
「職場や家庭でのストレスも更年期の不調を引き起こす要因となります」(東京医科歯科大学教授・寺内公一さん)

 1つはバイオロジカル(身体的)因子です。これにはエストロゲンのゆらぎとともに加齢という要素も含まれます。若いときのように無理が利かない、お酒が残りやすいといった体の加齢変化が不調を引き起こす要因になります。2つ目はサイコロジカル(心理的)因子です。どういう生い立ちで、どういう性格が形作られてきたかという個人の性格的要素や成育歴も更年期障害の症状に関わっています。どちらかというと大ざっぱな人は症状が出にくく、きちんとできないとイライラする人は症状が出やすいようです

 そして3つ目の因子はソーシャル(社会的)因子です。仕事への責任感や職場でのパワハラ、セクハラなど、仕事や職場環境から与えられるストレスも無視できません。また家庭での問題もあります。リストラされた夫が家にいることや子どもがニートで家にこもっていることがストレスだという人もいますし、子どもが自立して手がかからなくなり、空の巣症候群になる人もいます。この世代に多い親の介護問題もストレスになります。

 身体的問題、心理的問題、社会的問題の3方向の因子が重なりあい、更年期の症状となって不調を起こします。更年期障害はただ単にホルモンの揺れ動きだけで考えるのではなく、こうした3つの因子を総合的に捉える必要があると考えています。

―― ARIA世代には家庭を持ちながら職場で管理職として重責を負う女性もいます。

寺内 外来で多くの患者さんを診ていますが、仕事が働く女性に与えるストレスは大きい、と感じます。仕事を完璧にこなしてきた女性は特に注意が必要です。